2009年 12月 26日
痙攣性発声障害 輪状甲状関節屈曲法
お辛い気持を押して、撮影ならびに発表をご許可いただいた当患者さまに厚く深くお礼を言いたいと存じます。
本当は、こんなところに載りたくないことは、十二分に理解しております。
その恥ずかしさを我慢してお許しくださった勇気とご好意に、感謝に感謝を重ねてもしきれません。
ありがとうございます。
この映像を見て、希望を持つ方が増えることを祈念しております。
一連の映像は、外科的処置がなくても 外喉頭からSD症状改善が不可能でない証拠 となりますので、さらに正確かつ実践的に研究が進めばと願っています。
この患者さまの想いを汲んで、集中して、声の変化と喉筋の状況を観察してください。
初音が詰まって出てきません…
発声前には喉頭周辺筋もグッと緊張して硬くなります。
輪状甲状関節を操作して、初音の声帯振動開始を惹起させます。
言葉と言葉の隙間が埋められ、聞こえが良くなります。
これは、二つの関節運動を同時かつ正確に動かす必要と、声帯筋Tensionコントロールがありますから、D難度のテクニックになります。
それが見事に功を奏した症例です。
曖昧な筋肉ゆえ、SD症状にナミはあると思いますが、少しでも発声が楽になればと願っております。
お大事になさってください。
ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)
追記:私は施術中に 「術前より声が良くなった」 とか 「前回より声が良くなっている」 と話します。耳の肥えた人にしかわからないレベルですが、確かに好転した音声になっています。それは…、声は、呼気(空気)という道具を用いた、筋肉運動から成り立っているからです。喉の中にスピーカー(機械)は入っていませんし、ましてや妖精はいません。よって、当サロンの施術で喉頭周辺筋を整備すれば、確実に声の出しやすさは向上します。そして筋肉には記憶する能力があります。自転車や逆上がりがこれと同じです。身体が覚えてしまいます。発声も喉頭筋と呼吸筋の活動の結果、生まれてきますから、ある種スポーツと言っても過言ではありません。さて、私が 「声が良くなっている」 と評価しても、実際には、残念ながらそれを感じ取ることができない人が大半です。声の波長、音圧、息の流れ、ピッチ、リズムなど、微細な変化を捉えることに慣れていないからでしょうね。繰り返しトレーニングすれば、ある程度は誰でも判別できるようになります。そう、変化を感じ取れない結果、施術に対し半信半疑になっていきます。また、発声はメンタルからも大きな影響を受けやすいため、私は可能な限り 《良くなっている部分を見つけ出す》 《声を褒める》 《回復傾向の希望を持たせる》 ようにしています。以前、電車と飛行機を乗り継いで半日かけて来た再診の患者さんに、「喉頭の硬さが増し、声の詰まりも大きく、前より悪くなっていますね…」 と正直に正しくお伝えしたら、落ち込んでしまい、それから声が出しづらくなりました。それ以来、良い部分を懸命に見つけ、精神的にも応援するようにしています。そして重要なことは、私の意図するのは 『病気や障害が良くなっている』 と言っているのではなく、『声が良くなっている』 と言っているのです。誤解しないでください。[声が良くなる=病気が治る] ではありません。病気の有無に関係なく 『聞こえとしての声の良さ』 を意味しているのです。声が良くなるには喉頭周辺筋の機能が正しく活動しなければなりませんから、病気そのものは治らなくとも、声が出しやすく楽になり、日常生活に困らない程度まで戻る可能性がでてきます。これを伝えているのです。しかし、音声障害の方が治らない、あるいは、それほど変化がないと 「毎回、會田は良くなってきていると言っていたが、ちっとも治らないじゃないか」 と批判されます。日々の生活に支障がないほどまで改善した人からは感謝され、それ以外は酷評されます。私もある種の音声障害で苦しんでいます。声が正常でない苦悶は誰よりも知っています…
声は感覚そのものです。曖昧で変化が大きい。日々いいえ時間単位で刻々と変わっていきます。あなたは、ド・レ・ミ(音階)のドの音を出すとき、喉や上半身のどの筋肉をどのように動かし、どんな息をどのタイミングで出しているか、感じ取っていますか? あなたは、「おはようございます」 の 「お」 はどのように筋肉を動かして声を作っているか、知っていますか?
~メッセージ~
この記事は往時の外喉頭外来〔医師と共同研究〕時のデータに基づくものです。よって、不確かな蓋然性も高く、内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。現在は病気に対するアプローチは行っておりません。声の不調は医師にご相談ください。
by aida-voice
| 2009-12-26 08:35