2009年 11月 04日
横を向いて発声力を高めよう!
ヒトの頭は重い。
その頭を支える骨が頚椎であり、筋肉が主に僧帽筋と胸鎖乳突筋。
個人差はありますが、胸鎖乳突筋が張り過ぎて発声効率を落としているケースを確認することが多々あります。
ここで改善方法です。
まず、どちらか一方の首を横に向けます。
胸鎖乳突筋(中部から下部および胸骨頭と鎖骨頭))を触診しながらオトガイを上下左右に動かし、胸鎖乳突筋の筋緊張が最も減るポジションを探し出します。
角度は30度~60度の間です。
最適角度は人によって異なるため何度も試しましょう。
その位置を固定し、いつも行っている発声練習や歌唱レッスンを行ってください。
胸鎖乳突筋の圧から開放され、その下部に存在する輪状甲状筋を含むフラップマッスルの動きが良くなります。
今までになくスルッと楽に声が出せる感覚に驚く人も少なからずいます。
左右で試すことも大切です。
ピンポイントのグッドポジションを見つけなければ意味がありませんのでご注意ください。
最重要点は触診の正確さです。
ある位置でスッと筋肉が柔らかくなる瞬間があります。
それを見逃さないことです。
上手くできるとかなり効果的です。
お試しください。
ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)
追記1:なお、胸鎖乳突筋が発声の邪魔をしていない人には不要の手法ですよ。
追記2:痙攣性発声障害の某患者様で、この横向き発声を利用して声を出しやすくした症例報告です。モーラ検査法で中等度の内転型痙攣性発声障害と診断された方が当サロンにお越しになりました。発声時の特徴をいろいろチェックしていたところ、首をかしげる動作の途中で「詰まる」音声が減少することに気付きました。右斜め40度回旋、オトガイは水平より10度下、左下顎角を5度上。元々肩峰が左挙上タイプゆえ、意識的に肩ラインを水平に保ちます。この姿勢で発声すると、嘘のように安楽に声が出ました。何度試しても絶好調です。しかし、ほんの少し角度がずれてしまうと声が詰まります。また反対側でも行いましたがまったくダメでした。発声時のビデオ検査と筋硬度の部位別左右差から考察するに、一側の茎突咽頭筋が後輪状披裂筋の筋膜と交通あるいは癒合していてるのではないでしょうか!? レアケースですが、探し出すと思わぬ発声効率上昇が得られる場合があることがわかり大変勉強させていただきました。
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2009-11-04 11:54