2009年 09月 01日
声の乱用に注意
最近、声を使いすぎて機能性発声障害に罹患する人が増えています。
これまでは、声の乱用(オーバーワーク)によって声帯結節やポリープ様声帯が主でした。
しかし、喉頭周辺筋バランス異常を引き起こすこともわかってきました。
その特徴として・・・
①肩甲舌骨筋の浮き上がり(Hight tension)
②茎突咽頭筋の硬化とその左右差の出現
③下および中咽頭収縮筋と輪状咽頭筋の筋収縮の増加
④輪状甲状筋の疲弊による筋萎縮とその左右差の出現
⑤喉頭捻転
⑥顎二腹筋を含む舌骨上部筋群(顎舌骨筋・舌骨舌筋・オトガイ舌骨筋)の過緊張
⑦就寝中の食いしばり
などがのいずれかまたは複数の症状が起こってきます。
その結果、機能性発声障害・・・、特に突発性の過緊張性発声障害、低緊張性発声障害、音声衰弱症が多く見受けられます。(付随して咽喉頭異常感症の併発もあります)
これまでにどのような原因があったかを記載します。
Ⅰ仕事(歌手・俳優・女優・声優・アナウンサー・お笑い芸人・歌舞伎役者・能・講談師・教師・幼稚園の先生・弁護士・政治家・市場の仲買人など)によって使いすぎた
Ⅱ練習のし過ぎ(有名なボイストレーナーから直接習うのでなく、その著作本だけを読んで、過度に練習をやり過ぎた)
Ⅲ誤った発声(発声医学に無知なボイストレーナーや教師から、その人には合わない無茶な発声を強いられる・・・。本当にあなたの喉と声を知り尽くしたボイストレーナーから習ってください。誰一人同じ喉を持ってはいません。甲状軟骨の大きさ・喉頭周辺筋の活動状態・舌と顎関節の動作性などそれぞれ異なり、人によって使い方が違ってくるはずですよね。すべての人に完全に当てはまる同一メソッドは無いと考えた方がよいでしょう・・・)
Ⅳ感情的な発声(夫婦ゲンカやストレスで発狂発声した後、機能性発声障害に陥ってしまった患者様を多く診ています)
Ⅴ過度の緊張状態の中での発声(プレゼンや本番など、慣れない人が大勢の面前で声を出す際、良いとこを見せようとがんばりすぎてしまうケース)
この他にもありましたが、上記がよく見かける原因です。
声の乱用には十分注意してください。
ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)
追記1:このような原因のはっきりした機能性発声障害の改善は可能です。当サロンの他、優秀な音声専門医師ならびに言語聴覚士に治してもらいましょう。治療法で異なりますが、発症して1年以内ならグングン良くなるはずです。なお、残念ながら1年以上の病歴の方は、喉頭周辺筋のTight期間が長いため、即時改善は難しいことがあります。そう、好調と不調のナミを経て薄皮を剥ぐように徐々に快方に向かいます。詳しくは徹底的に検査(喉頭周辺筋解剖予想図、無声時筋硬度、上喉頭動脈などの血液循環量など)してみましょう。なあなたの頚前面部で何が起こっているのかはっきりします。
追記2:これらの逆を考えれば、どうすれば美声が獲得できるか簡単に判明しますよね。歌のテクニックは、素晴らしい声の存在の元に生かされるのです。当サロンでは歌唱テクニックは教えていません。歌そのものが上手くなることはありません。しかし、どのような声もスムーズかつ簡単に出てくるようになるため、歌唱のテクニックが活かせるようになるのです。歌は聴く人が感動しなければ意味がありません!(もちろん一人カラオケなどの自己満足でOKな人は除きますが・・・)
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2009-09-01 17:10