2009年 07月 20日
痙攣性発声障害と呼吸
痙攣性発声障害(SD)の方には大きな特徴があります。
それは 『初音』 が出ないことです。
特に 「はい」 や 「ありがとうございます」 の “H” および “A” が詰まったり割れたりして出難くなっています。
トランペットに例えて考えてみますと、息を吹き込む瞬間にマウスパイプがギュッと縮んで詰まってしまい、空気の流れを阻害してしまうようなものです。(現実的にはありえませんが・・・)
このような場合、あなたなら最初に何から対処あるいは改善しますか?
まず、マウスパイプの縮み度合いを少なくし、詰まりをなくして空気の流れを良くしますよね。
そして、より多くの空気を送り込んで鳴りを良くするでしょう。
これと同じです。
喉頭の過緊張を緩和し、呼気量を増やす。
原則です。
そこで、当サロンの施療で声帯および喉頭周辺筋の動きを良くした後、呼気圧をアップさせる施術を行うと驚くほど声が出やすくなります。
チェアーベッドで肋椎関節の可動性を向上させて胸郭体積を増やし横隔膜の上下運動を大きくして呼気圧を増やします。
會田の手技で、肺活量が約3~10%増加します。
必要に応じて肋間筋や鎖骨下筋にも柔軟性を与えましょう。
さらに初音発声の瞬間に、胸骨を斜め45度上に引き上げたり、肩峰を極端に後方に反らせて呼気量を増やすことも一法です。
ただし、タイミングがずれると意味を成しませんし、そのたびに大袈裟に行うこともできませんので、地道なトレーニングも必要でしょう。
また、睡眠時の寝方も重要であることがわかってきました。
これは研究途中ですが、横臥位(横向き)で寝たとき、上の肩が上肢の重力でカールしながら下がってしまいます。
その際に腕神経叢(わんしんけいそう)や腋下神経(えきかしんけい)や上腕神経などが圧を受けやすくなりますね。
結果的に胸部前面を収縮するような不良姿勢を保持するようになってしまいます。
痙攣性発声障害の方や機能性発声障害に罹患している方の多くが不良姿勢のような気がします。
そこで睡眠時に、抱き枕を使用することをお勧めします。
抱き枕の使用で、胸郭閉塞が防げるのではと願っています。(寝方には個人差があるので絶大な効果を確約できる方法ではありません・・・)
ともあれ、痙攣性発声障害と呼吸は重要な関係にあるのは確かですね。
これらは音声振戦症や過緊張性発声障害などの機能性発声障害にも当てはまります。
皆さまの声の回復を心よりお祈り申し上げます。
ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)
~メッセージ~
この記事は往時の外喉頭外来〔医師と共同研究〕時のデータに基づくものです。よって、不確かな蓋然性も高く、内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。現在は病気に対するアプローチは行っておりません。声の不調は医師にご相談ください。
by aida-voice
| 2009-07-20 14:29