旧 會田ボイス整骨院 ホームぺージ ボイスコラム6


ホームページ改新にあたり、2005年に発表した會田ボイス整骨院ボイスコラムを載せます。
このコラムは当時の最新発声医学をお伝えしてきました。
既に古い情報となってしまい、現在とは多少異なる見解もあります。
しかし往時の最先端を偲んで訂正せずに載せることをご了承ください。
その点をご考慮いただき、お読みくださいますようお願い申し上げます。



6:輝く声が人を魅了するパート1・・・答えは顎関節の柔軟性

声楽を習い始め、オペラ大好き人間としてエンリコ・カルーゾー、ベミアミーノ・ジーリ、ルチアーノ・パヴァロッティなどのテノールを好んで聞き込んでいたため、彼らのような美声が出るのを期待していました。
しかし、当たり前なのですが、そのような声は出なかったのです。
耳障りで押しつぶしたようなガサツな声。最初の一年は落胆しました。才能の無さを呪い、高年齢を言い訳にして、それでも週5日の練習と考察に明け暮れました。
続けて、続けて、続けること。
そして、ついに自在の音声を獲得したのです。(ただし、一流の声楽家のような美声でないことをお伝えさせていただきます)
そこには、これまでの柔道整復師として医療に携わった経験と知識が役立ったのでした。
イメージはとても重要です。アメリカ大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手もイメージの大切さを語っている。何度もバットを振りながらヒットのイメージを重ねる。ボールを追っかけフェンスに駆け上がってキャッチするイメージを思い描く。
行動や運動の全体像が具体的に見えたり十分理解できたりする場合は、強くイメージして繰り返すことは大変有効な手段です。
しかし、あまりに現実味の無い突飛な発想や空想にしか思えない場合はどうでしょう。
歌を習っていると、「頭の天辺から声を出しなさい」「喉の中に空気の柱や噴水の頭のところに乗っかっている感じで歌いなさい」「口から前に出すのではなく反対の方向へ行くような感じの声」「同時に息を吸い続けるように歌いなさい」「声を鼻の周辺に集めて」「舌の後ろから食道の方へ鶏の卵を入れるように喉を開けて」などのように、つかみどころのない例えで指導されることが多々あります。
何となく分ったような気もしますが、どこをどうすればそのイメージに合った状態になるのか、皆目見当もつきません。きっと、少なからずこのような経験があることでしょう。
そこで、論理的に解決できないかと熟考し研究を重ねました。
幾つかの結論に達し、それを検証して確信を得るに至ったのです。
その一つ目は顎関節の柔軟性です。顎関節の構造と開口について簡単に述べてみます。
顎関節は側頭骨と下顎骨の関節突起とでジョイントされ、関節内に二層構造の結合組織からなる関節円板が存在します。
開口のメカニズム
動作の状態
関節突起が関節円板と一緒に前方にスライドしながら下方へ下がる。
関与する主筋
外側翼突筋(二側に分れ、上側頭は蝶形骨大翼から、下側頭は蝶形骨翼状突起外側板から下顎骨関節突起頸部へ)の下側頭が作用
関与する補助筋
顎二腹筋の前腹、顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋が、下顎骨を固定された(安定位置)舌骨へ引っ張り下げる
その他に関与する事象
重力
過去に顎関節症(側頭下顎骨関節症候群TMJ:女性に多い顎関節の異常で、噛み合わせの悪さや片側で噛む癖、ストレスの緊張によっての発症などさまざまである。主な症状として、開口時や咀嚼時に顎関節周辺に痛みを感じる。頭痛、首の痛み、肩こりを伴うことが多い。カクンとかガサガサという音がすることもある)を施療したときのことを思い出しました
TMJの患者様は、ほぼ一様に若干こもった声を発していました。
その訳を考えたとき、開口が不十分なために口腔での共鳴が上手く行かないことが解りました。構音の際、やはり共鳴腔が必要不可欠であることを再認識したのです。特に体積の大きな空間を制すれば、豊かに輝く美声への近道と考え、口腔に目を向けました。
ならば「口の中を広げればいい!」
なるほど、口を大きく開けさえすれば良いのだろうか。何も考えず口だけ最大に開いて発声すると、思いのほか口腔は狭くなり、喉の詰まった貧弱で平たい声しか出ません
これは、関節突起が前方にスライドして開口した状態で、口腔狭部(軟口蓋の鼻側の傾斜部と中咽頭への開口部)がひしゃげ、舌根も盛り上がり、共鳴がうまくいかないのです。
よって、舌根を意識的にやや下げ、顎を引き込みながら柔らかく下降させます。そう、開口でなく下降または下制です。

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この引き込みは、側頭筋の後部線維の収縮によってもたらされ、補助として咬筋の深部、オトガイ舌筋、顎ニ腹筋も関与しています。
これら顎関節の一連のスムーズな動作によって大きな口腔が出来上がり、共鳴する発声が可能になります。
これまでに診てきた歌い手の顎関節を調べてみますと、動きの固い人が多く、そのため口腔を上手く使いきれていないように思いました。
当院では、顎関節の可動域を拡大し滑らかな動きに改良するための最適な手技と施療を行っています。
主な内容は、顎関節のモビリゼーション、顎および舌骨周辺筋のマッサージとストレッチング、低周波ポイント通電による筋強化などです。




~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2008-03-07 22:24