ベルカント唱法の危機【舌骨喉頭蓋靭帯のゆるみ】



声楽家やオペラ歌手にとって、舌骨喉頭蓋靭帯のゆるみは致命的


クラシック音楽の歌に欠かせないベルカント唱法の根本は、喉頭蓋を垂直に立ち上げ、声門を通過した呼気の粗密波(振動)=声を、一気に排出することで生まれるスーパー唱法。
声の生成に無駄がなく、パワフルな音量を確保できるため、マイク無しの大ホールでも響き渡るのです。
また、同時に舌骨の前方移動も叶うことから、咽頭共鳴腔を最大限に活用して音質の良さも引き出せます。
もちろん、クラシックだけでなく、他のジャンルにも取り入れれば、歌唱表現の幅が広がります。
ただし、舌骨喉頭蓋靭帯がゆるんでいるひとは、喉頭蓋をうまく引き上げられず、梨状陥凹にふたをするような状況になります。
これでは、呼気の流れを阻害し、咽頭共鳴腔も狭くなり、良声は成し得ません。
大勢の舌骨喉頭蓋靭帯を調べてきた結果、ときどきゆるんでいるひとを見かけます。
ゆるんでいても自覚は少ないため、自己発見は難しいと思います。
また、相当弛しているケースでは、食物や唾で、軽い誤嚥や咽(むせ)が頻発します。
検査法です。

1:舌骨体を指で挟む
2:舌骨の左右の動きと可動域をチェック
3:舌骨を水平に引き出しながら、ある音を発声
4:その際の音の変化をチェック

これで舌骨喉頭蓋靭帯のゆるみ具合を判断できます。
ゆるみの原因は多岐にわたり、特定するのは困難です。〔生まれつき弛緩気味のひともいます〕
改善方法は二つ。
一つは、軟部組織への微振動による収縮化を促す「ゴールドバイブレーション」が効果的。
もう一つは、舌骨体および舌骨大角に付着する筋肉を鍛えることで補完しようという方法。
それが「ハイオイド・アイソメトリックス」ですね。
まだまだ完璧なアプローチとは言えず、さらなる良策を求め、全力で鋭意研究中です。
文頭を繰り返します。
声楽家やオペラ歌手にとって、舌骨喉頭蓋靭帯のゆるみは致命的!!!



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追記1:よく「オトガイ舌骨筋を鍛えれば良いですか?」と尋ねられます。もちろん効果は期待できます。ただし、オトガイ舌骨筋単独の作用で喉頭蓋が垂直に立ち上がるものではないため、あくまで補助として捉えてください。なお、オトガイ舌骨筋の運動性を高める最高の方法が「オトガイ舌骨筋プルプル体操」(もうすぐ時限掲載を予定)ですよね!





追記2:机上の論理や外皮からの探査だけでなく、実際に組織の研究をしなければ真実を語ることはできません。過日、舌骨喉頭蓋靭帯の状態や動きを触知しています。以下は、アメリカ合衆国メイヨークリニック喉頭機能外科教室のセミナー時の絵です。もちろん解剖は医師。ご献体くださった方々に感謝しつつご冥福をお祈り申し上げます。


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~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。





by aida-voice | 2017-08-11 00:24