胸骨舌骨筋 破格レポート


皮膚→皮下脂肪→広頚筋、その次に胸骨舌骨筋があります。
この胸骨舌骨筋ですが、舌骨を押し下げ〔固定〕、発声や嚥下に関与〔最終相〕します。
非常に薄く小さな筋肉。
でも、丁寧に指先で探査すると、起始停止や筋腹の状態が把握できます。
これまで約2万人の喉に触れ、胸骨舌骨筋を調べてきました。
その結果、ずいぶん破格が多いのに驚きます。
ここで用いる破格とは、正常範囲内のレアケースの意味で、肩甲舌骨筋の最大の特徴は本数。
解剖学アトラスなどでは、左右対称に1本ずつ、計2本が描かれていると思います。
多くは計2本でしょう。
ところが、片側の筋腹が1~3本に分かれ、左右の本数も異なり、計2本以上に数になることも多々あるのです。
起始停止から多数本の場合もあれば、途中から枝分かれしている場合など、さまざま。
これは、医師の喉頭枠組み手術を多数見学したときにも確認しています。
なお、胸骨舌骨筋による発声や嚥下への影響力は小さく、結局、何本であろうが関係ないようです。
それは、喉頭や甲状腺の手術後に胸骨舌骨筋が動かなくなったり取り除いたりしても、声は出せるし食べられることからも理解できます。
やはり医学的には重要視されないかわいそうな筋肉。
でも大事な個性と捉え、わたしは細々と調べ続けているのです。




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追記:すべての皆さまの胸骨舌骨筋を探り当てることはできません。皮膚が硬かったり、皮下脂肪が厚かったり、広頚筋の筋線維が乱れていたり、筋腹が薄かったり。ヒトの体って本当に不思議がいっぱい・・・




追記:「歌には胸骨舌骨筋や甲状舌骨筋が重要だから意識して鍛えなさい」とおっしゃるボイストレーナーがおりますが、残念ながら、歌唱にとって、超重要な筋肉ではないと考えます。また、この筋肉を意識下で各々鍛えるのも不可能。解剖絵図を見ただけで「甲状軟骨のそばにあるから大切だ」と思いこんだのでしょうか。常に、歌唱と発声関与筋の運動力学から考察することが必須ですね。実際、甲状腺の手術で胸骨舌骨筋と甲状舌骨筋を廓清した歌手が、手術前と変わらぬ美声で歌っているケースを知っています。ただし、手術で軟部組織の瘢痕・癒着が生じた場合は、早急に善処しなければ、他の筋肉に悪影響を与え、歌唱能力が低下します。この点は十分ご注意ください。







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 會田茂樹|あいだしげき 




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by aida-voice | 2017-06-11 00:05