声の短問短答【続編】411


「テストステロンが多ければ多いほど低い声になるって本当?」

一理あります。
テストステロンは男性ホルモンの一種で、筋肉を増大させる作用があります。
したがって、声帯ヒダも声帯筋と声帯粘膜から構成されているため、低音には声帯筋の筋腹の太さや重さが必要になってきます。〔ちなみに、声帯筋と声帯ヒダの両部位が振動するときを地声、声帯筋が硬化して振動せず声帯粘膜のみ振動している状態を裏声と称する ⇒ 正確にはもう少し複雑ですが…〕
弦楽器で例えるなら、弦(絃)が太く重くなるほど低音パートを担う。
これと同じ理屈。
よって、テストステロンの分泌が多いほど低音化する可能性はあります。
ちょっと待った!
これだけでなく共鳴空間も大きく関与しているのですよ。
再度、弦楽器で考えてみましょう。
もし、コントラバスの最も太い弦を、ウクレレに取り付けて弾いたら、豊かな低音が奏でられるでしょうか?
答えはノーだと思います。
したがって、ヒトの場合も、声帯筋の増大だけでなく、甲状軟骨や共鳴腔(中でも咽頭共鳴腔)の容積の大きさも大切な要素になります。
甲状軟骨は第二次性徴後の変化はありませんが、咽頭共鳴腔は施術や訓練で拡大させることが可能です。
さあ、魅惑的な低音で自分を表現しましょう。
他人は、言葉の内容よりも、最初に聞いた声の印象で、貴殿を勝手に評価しているのです。


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追記1:女性は本能的に声の低い男性に魅力を感じると言われています。子孫を残し繁栄させるため、男性ホルモンの多い“強い男”に惹かれる本能を持っているのでしょうか???




追記2:話し言葉は低音が男らしさを感じさせますが、歌の場合、もうちょっとややこしい。好例なのがオペラ。男性の主役声種はテノールが多い。つまり高音系。実際、ジャンルを問わず男性歌手が評価されているケースでは、高音発声が大事になっています。もちろん低音も蔑ろにしてはいけません。なぜなら、低音が豊かであるからこそ高音が活き、高音がより高く美しいからこそ低音が活きるのです。




追記3:低音を求めるボイスケアは何か? ①発声関与筋の柔軟性獲得〔喉頭牽引機やピンポイントマイクロストレッチなど〕、②咽頭共鳴腔の構築〔舌骨引き出しアプローチなど〕、③発声関与筋の筋トレ〔LSE(ラリンクス・スライド・エクササイズ)など〕を順に行います。加えてFSBR(ファイブ・セコンド・ブレス・レコード)や加圧呼吸トレーニングで呼吸性能を高めます。心を打つ低音には、圧倒的な呼気圧が必須なのです。





喉と声のスポーツトレーニング&リラクゼーション
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 會田茂樹|あいだしげき 

 
by aida-voice | 2016-06-01 17:25