声の短問短答【続編】394


「声の良さには共鳴腔が大事であると聞きましたが、どうやって訓練するのですか?」

声質に関与するヒトの共鳴腔は5つあり、その中でも最重要な場所が咽頭共鳴腔です。
咽頭共鳴腔に関しては過去記事を参照してください。☞ 『喉辞典 目次 あ行 1
かなり詳しくまとめてあります。
さて、その咽頭共鳴腔をあますところなく活躍させるための訓練法があります。
それは、舌骨引き出しアプローチです。
ご存じの方も多いのではないかと思いますが、当サロンの施術でも取り入れています。
これにはチェアベッドを用います。
そう、加圧呼吸トレーニングに使用する機材と同じ。
チェアベッドに顔を軽く埋め、舌骨大角付近の軟部組織(主に中咽頭収縮筋)と舌骨を吊り下げる筋肉(顎二腹筋や茎突舌骨筋)を弛緩させます。
術者は舌骨体側面に母指と示指をアーチに沿って正確に当て、舌骨と水平にゆっくり引き出します。
最初に無音で咽頭共鳴腔の広がり感を感じとってください。
喉頭周辺の筋肉に柔軟性がある方は、その空間の広がりを確実に感じるはず。
次に小音量でハミングします。
発声練習ではありませんから、ご自身の楽な音域を地声で小さく。
ハミングすることで、咽頭共鳴腔の形状の変化によって音色や響きが作られる感覚を知ることができます。
これは大変重要なトレーニングです。
当サロンでも「わぁ、声が変わるよ「おぉ、響く感覚がわかった」「共鳴させる空間はココにあったのね」など、これまでの概念が覆されるほど効果を得られるひとも大勢いました。
これらの施術は、ある程度、喉頭に柔軟性がなければ叶いません。
また、正確にミリ単位で引き出さなければ効果がないどころか事故を招きます。
軽率にマネして負傷した事例を知っています。
十分お気を付けください。
舌骨引き出しアプローチは熟練したボイスセラピストにお願いしましょう。



舌骨引き出しアプローチ ~二例~

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追記:男性と女性では、舌骨の大きさや甲状軟骨板の角度が異なるため、舌骨引き出しアプローチの手法もやや違ってきます。詳しい方法は弟子に伝えます。




喉と声のスポーツトレーニング&リラクゼーション
 ボイスケアサロン
 會田茂樹|あいだしげき





~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。




 
by aida-voice | 2016-04-22 00:06