高音発声を向上させる輪状甲状関節モビリゼーション


アーティスティックな高音発声に欠かせないのが輪状甲状筋の動き。
この筋肉によって動作するのが輪状甲状関節。
この関節が屈曲およびスライドしたとき声帯ヒダが伸ばされ高音が叶います。
何しろ小さな関節。
高音発声時にその動きの感覚を伴っているひとは地球上では皆無。
長期間、調べた結果、関節可動域の小さいひとが大勢いました。
これでは自在の高音は不可能。
例えるなら、ひざの関節の動きが悪い状態で、垂直方向へ飛ぼうとしているようなもの。
決して高く飛べません。
輪状甲状関節の動きが硬かったり可動域が小さかったりするひとは、どうやって高音を出しているか?
二つの悪癖を使います。
一つは、力を込めて声帯筋をカチカチに固める。
もう一つは、咽頭共鳴腔をギュッと狭くしてしまう。
この手法を用いた高音は、ⅰ金属音的な強すぎる高音、ⅱコントロール性能を失っているためピッチが狂う、ⅲ声が揺れたり割れたりする、ⅳLDPになりやすい、となります。
つまり、芸術的な美音からかけ離れていく・・・、ただの音。
では、どうすれば輪状甲状関節を使いこなせるのか?
まずは、輪状甲状関節が正常に動いているかどうかチェックすること。
キチンと動いているのならば、ある程度評判を得ているボイストレーニング方法で十分に筋肉をつけることが可能だと思います。〔エキセントリックなトレーニング方法を除く〕
しかし、輪状甲状関節の動きが悪い場合は、その原因を取り除かなければ、どんなに発声練習を積み重ねても、思い通りの高音は獲得できません。
原因はさまざまあります。
最も多いと感じているのが、徒手検査では輪状甲状関節は正常だが、LDPにより輪状甲状関節の動く範囲が狭くなって輪状甲状筋の筋力が低下するタイプ。
高音で悩んでいる10人中8人が該当します。〔10年間(2005~2015)のデータより〕
改善策は、まずLDPの解除、次に輪状甲状関節モビリゼーション、最後に輪状甲状筋の筋トレ。
下に、輪状甲状関節モビリゼーションを行っている写真と輪状甲状関節の位置を印した絵を供覧します。
この輪状甲状関節モビリゼーションによって、上も下も(高音域と低音域の範囲)広がります。
そう、オクターブバンドがグンと増える。
それも、魅力的な声で、かつ、軽々と!



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輪状軟骨を前方にスライドさせながら斜め下へ移動させ輪状甲状関節の角度を広げて声帯ヒダを能動的に弛緩させる【低音強化】



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輪状軟骨の上制により輪状甲状関節の屈曲を強いて声帯ヒダをしっかり伸ばす【高音強化】



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追記1:輪状甲状関節はダブルアクションのジョイントです。ヒンジ運動とスライド運動。また、甲状軟骨下角の形状の左右差によって動きが悪くなるケースも確認されています。最も大切なのは、自分の大切な楽器としての喉を知ること。すべては、ここから始まります。実際、整備不良の状態で、それを個性と勘違いし、そのまま歌っているJ-POP歌手も結構多くいます。




追記2:素人判断で輪状甲状関節モビリゼーションを行わないこと。このアプローチを受けた100%のひとから「えっ、こんな場所で、こんなに小さい動きなの…」と驚かれます。それほどピンポイントで脆弱な組織。ほんの少し動きを間違えたり圧をかけ過ぎたりすると、損傷してしまいます。自分で触ってケガをした方が「時間が経っても良くならないから治して欲しい」と、全国から大勢お越しになっています。また、各施術所等で受ける際は、甲状軟骨下角の正確な位置と左右4枚の輪状甲状筋の状態を触知できる技能を持った声専門のボイスセラピストにお願いしてくださいね。




追記3:「写真の中で、耳にビニールキャップが写っていますが、なにですか?」それは耳力アップですね。繊細な音の違いを聴き分ける力を高めるアプローチ。聴衆を魅了するエリートボイスユーザーには必須の力ですね。

結局、歌のうまいひとって、耳がいい。 




 
by aida-voice | 2016-03-23 12:01