チョキ開大運動が効く訳


「チョキ開大運動が効いた!」との報告を、驚くほど多くいただきます。
なぜ、チョキ開大運動は効くのか?
発声が運動であることに答えがあります。
呼吸運動と声生成運動の二つ。
呼吸は、酸素と二酸化炭素のガス交換として生命維持に欠かせません。
その呼気を利用して声を作っています。
呼吸は、内肋間筋・外肋間筋・横隔膜の連携によって成されます。
横隔膜を、膜組織と思っている方が多いのですが、ほぼ筋肉組織なのです。
すべて筋肉による運動。
そこでコントロールされた呼気、つまり空気の流れを利用して、声帯ヒダを振動させるのです。
次に、喉の運動。
声帯ヒダは、それ自身で動いていると思っている方が多いのですが、周囲の筋肉によって動かされているのです。
収縮運動とベルヌーイ定理に基づく動きを除いて、あくまで受け身。
これらの事実から、発声は運動であると断言できます。
ちょっと脱線しますが、極々一部の指導者は「のどの奥に住んでいる妖精さんが声を作っている」と生徒に説いています。
ファンタジーあふれるステキなお話なのですが、全部とは言いませんが、ある程度の科学論理を取り入れながらイメージメソッドを構築した方が、より自由で高度な歌唱が叶うのではないでしょうか。
さて、元の題に戻ります。
筋肉運動に最も必要なのは酸素と栄養です。
それを運ぶのが血液。
血液は、血管を流れ、各部位へと巡っていきます。
声帯筋を含め、声帯ヒダを動かしている筋肉への血流は、上喉頭動脈が主となります。
この血管は、舌骨と甲状軟骨の間を通ります。
そこには骨間膜が存在し、穴が開いており、それを甲状孔と称します。
摘出喉頭の触知実験(解剖は医師、実験者は會田)で、①骨間膜は思ったよりも硬い、②甲状孔の穴は思ったよりも小さい、③甲状孔の位置は思ったより左右で異なっていた、が判明しています。
したがって、チョキ開大運動で、上喉頭動脈の血流を促進すれば、内喉頭への酸素と栄養がしっかり供給でき、発声を運動として捉えた場合、効果が上がることは確実です。

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追記1:上喉頭動脈の血流が増すと、咽頭壁からの分泌液も十分となり、喉の乾燥を防げます。加えて甲状孔からは上喉頭静脈も出てくるため、静脈血の流れが良くなれば、声帯ヒダのむくみも改善されます。声帯ヒダがむくむと、厚みと重みが増し、低音化・美しい高音が出ない・ガラガラ声・かすれ声などの様態を呈します。これらを含め、チョキ開大運動は発声に良いセルフケアだと言えます。



追記2:チョキ開大運動は、甲状孔の正しい位置を知らなければ、効果が期待できません。多くのひとに位置の左右差があるため、まずは自分の正しい場所を知るべきです。見よう見まねで試し、正確な場所で行っていないひとは、「チョキ開大運動は効果が無い」とつぶやくのでしょうね。




  
by aida-voice | 2016-03-10 10:47