首を回しても輪状甲状筋は動かない!


ボイスアドバイザーT先生から尋ねられました。
「先日、後方に転倒した際、頭をかばうため、顎を鎖骨に思い切り引き寄せました。その後、頚部前面が痛くなり、輪状甲状筋の損傷を大変心配しています・・・」
大切な事実ですが、声にかかわる筋肉は、発声のために動きます。
したがって、首を動かしたくらいで輪状甲状筋が大きく作動することはありません。
もし、首の動きに連動するなら、首を動かしただけで音程(ピッチ)が変化することになります。
これではオペラやミュージカルは不可能。
すべての歌手は、直立不動で歌わなければならなくなります。
T先生のケースでは、広頚筋や胸骨舌骨筋が軽微に負傷したものと思われます。
触診したところ、やはり輪状甲状筋の損傷はありませんでした。
なお、痛みは数日で消えたとのこと。
良かったですね。

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追記:歌う前のウォーミングアップ時に「さあ、首を回したり反って伸ばしたりしてください。高音発声をつかさどる輪状甲状筋のストレッチングですよ」と教えている先生がいらっしゃったら、それは間違いですね。ただし、喉頭は懸垂機構と呼ばれる四本のすじ(主に茎突咽頭筋と茎突舌骨筋〔並走する茎突舌骨靭帯を含む〕)によって宙に浮いています。自由に動く空間範囲を拡大する目的での首の運動は大切ゆえ、理論の正確性はともかく、発声のスタートアップには有効でしょう。
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by aida-voice | 2016-02-23 11:44