声の短問短答【続編】362


「テレビ局の新人アナウンサーが『滑舌を良くするために、もっと口を大きく開けてしゃべりなさいと指導を受けています』と言っていましたが、口を大きく開ければ滑舌は良くなるの?」

正解でもあるし不正解でもあると考えています。
さまざまな見解が存在します。
最初は肯定的な理論。
口を大きく開けることで口腔内が広がり、舌の運動範囲が増える。
よって、滑舌に良い影響を与える。
次に否定的な論理。
滑舌の良し悪しは、舌と舌骨上筋群のリレームービングによって決まるため、開口云々に関係しない。
この考えを示すオーソリティも多くいらっしゃいます。
さて、どちらが正解か?
個人的な意見を述べます。
ちょっと思い出してください。
かまずにスラスラと言えるときがあれば、意思とは反してカミカミのときもある。
誰もが経験する出来事ですよね。
その差を検証してみましょう。
発声は運動であるポイントヴューから、滑舌が良いときと悪いときの筋肉を観察してみました。
その結果、滑舌が良いときは悪いときと比べ・・・
①発声関与筋が柔らかい〔概ね筋硬度25Tone以下〕
②外喉頭筋の動きの範囲が大きい
③造語運動全体が滑らか〔開口もスムーズ〕
したがって、上記の条件に当てはまる環境を保持すれば、滑舌は良くなるはず。
環境要因として、ⅰ緊張していない、ⅱストレスがない、の二点。
緊張や精神的ストレスによって声にかかわる筋肉は収縮して内部の細い血管を圧迫します。
酸素や栄養の供給が滞ると同時に老廃物が排出できなくなって筋肉の運動性能は一気に落ちます。
言葉を生み出す行為は、すべて小さな筋肉の動きに担っています。
以上より、緊張やストレスから解放された状態でしゃべれば、口は自ずと滑らかに開き、大きくても小さくても、思い通りの素敵な声の言葉が流暢に出てくるはず。
一生懸命がんばって口を大きく開ける行為は、逆に、筋肉に緊張やストレスを与える可能性もありますので、要注意と言えるでしょう。
繰り返します。
発声は、一種の運動です。
小さく細やかな運動。
内外喉頭筋の曖昧で感覚の薄い運動。
その運動結果が声なのです。
そして、声の本質は空気の振動。
そう、喉の筋肉によって空気の振動の作り出すだけの話。
原動力は呼吸(呼気)。
最後に、音質や響きを左右するが5つの共鳴腔。
さあ、声の本質を正しく理解してください。

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by aida-voice | 2015-09-16 01:07