声の短問短答【続編】348


「輪状甲状関節の脱臼は癖になりやすいの?」

はい、おっしゃる通りです。
甲状軟骨の下角が輪状軟骨のくぼみに軽く接触しているだけ。
これゆえ素晴らしい高音発声や歌唱が叶うのですが、動きが大きい分、やはり脆弱。
一旦、脱臼(位置変動)すると、関節包の存在もあやふや、固定軟部組織も個体差が大、の理由から、再び脱臼を起こしやすいと考えます。
種類は、前方脱臼と下方脱臼がメイン。
なお、片側および両側のケースが8:2の割合。〔当院過去10年間のデータより〕
整復法は、甲状軟骨を固定し、輪状軟骨を正常位置へ戻す手技が中心となります。
ただし、とても小さく繊細な関節ゆえ、ミリ単位操作の技術を要します。
ほんの少しでも力をかけすぎると、輪状甲状関節の機能が損なわれ、逆に高音発声が不可となります。
よって、整復は、知識と経験が豊富な先生(有資格施術者)にお願いしましょうね。

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輪状甲状関節の可動域を検査している様子





追記:輪状甲状関節は、軟骨同士の接合部ゆえ、本来の関節の意とは異なるため、傷病名である「脱臼」と表現するのは厳密には正しくありません。






~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。





by aida-voice | 2015-07-08 05:42