声帯に個性は少ない!?


そう、題名通り、声帯に個性は少ない。
声帯は、主に音を作り出すこととピッチを変える仕事を担っているのです。
もちろん自由かつ正確に動くことが重要ですが、音色や響きの良さは、声帯で作られた音源を加工する5つの共鳴腔によって決まります。
5つの共鳴腔とは、①声帯ヒダと前庭ヒダ(仮声帯)の間にある喉頭室、②前庭ヒダと喉頭蓋の空間となる梨状陥凹、③舌骨の奥に存在する咽頭共鳴腔、④口の中の口腔共鳴腔、⑤鼻の中の鼻腔共鳴腔。【モノクロラフ絵A参照】
音楽的に最も大切なのは③の咽頭共鳴腔です。
なぜ?
舌骨の動きによって、空間の大きさを変えることができるから。
さらには、この周辺の軟部組織は、訓練次第で意図的に形状や硬度を変化させられるのです。
つまり、楽器を変えることができると換言できます。
咽頭共鳴腔を活躍させるポイントは1つ。
舌骨の運動性。
ご存知の通り、ヒトの骨の数は約206個ですが、その中で唯一、他の骨とつながらず空中に浮いた骨が舌骨ですよね。
舌骨は主に懸垂機構(茎突咽頭筋と茎突舌骨筋〔並走する茎突舌骨靭帯を含む〕)で吊り下げられています。【モノクロラフ絵B参照】
ここまでは、よくお話しする内容ですが、事実はもう少し複雑です。
確かに、吊り下げているのは懸垂機構の役目。
その他、舌骨に直接付着せず中間介在腱を通す顎二腹筋も懸垂作用を担っています。
また、舌骨に付着する筋肉には、中咽頭収縮筋、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、舌骨舌筋、胸骨舌骨筋、甲状舌骨筋、肩甲舌骨筋などがあり、それらによって四方八方に筋収縮ベクトルが存在し、舌骨の固定を目論んでいます。
どの筋肉がどのくらいの力で動くかによって声の質が大きく変化します。
ここで、良い音に重要なのは倍音形成する空間の生成。
バイオリンやアコースティックギターで考えると、胴(ボディ)に相当します。
この胴(ボディ)によって音色が決まります。〔その素材や造りによって値段が大きく変動しますよね〕
ヒトの場合は咽頭共鳴腔。
他の共鳴腔も大切ですが、自由度が異なります。
発声はスポーツです。
楽器の要素(喉頭形状)と運動の要素(発声関与筋の柔軟性と筋力)の積(掛け算)によって声が決定されます。
そして、発声(歌唱を含む)は難しいものではなく、無自覚で楽しいもの!
ステキなボイスライフをお祈り申し上げます・・・



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モノクロラフ絵A




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モノクロラフ絵B





追記1:弦楽器で例えれば、声帯ヒダは弦、咽頭共鳴腔は胴(ボディ)です。音を作るのが弦で、音を加工するのが胴(ボディ)。これと同じ。




追記2:なお、口腔共鳴腔は言葉を作る作業がメインであり、鼻腔共鳴腔は音色の明暗を担っています。矢状断面解剖図で見ると、鼻腔共鳴腔は広大に感じますが、実際の体積はとても小さい。さらに鼻腔周辺軟部組織の膨張度合の高さを考えると、音色の良さに期待するのは酷。しかし、空気の振動を体外に放出する大切な場所であることには変わりありません。〔声=音は空気の粗密波(振動)なのですから・・・〕






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by aida-voice | 2015-07-08 03:47