年齢を重ねると滑舌が悪くなる理由


検証したところ、加齢と共に滑舌が悪くなる理由の一つとして、懸垂機構(舌骨・甲状軟骨・輪状軟骨を吊り下げている茎突咽頭筋と茎突舌骨筋)の筋肉が落ち、喉頭全体が下がってしまい、そのため舌の運動性を阻害することがわかってきました。

~実験法~
① 若い頃より滑舌が悪くなったと感じられる60歳以上の10名を選出
② 現在の写真と20代頃の写真を用意する〔正面・閉口・無声時の写真〕
③ 写真上、喉頭隆起と両耳孔に線を引き、逆三角形を描く
④ 喉頭隆起と右耳孔の距離を測る〔A〕
⑤ 逆三角形の高さを測る〔B〕
⑥ 現在と若い頃の数値を比較する〔Aの数値に合わせ、Bの数値の違いを算出〕

~結果~
Bの値を基に、実寸で当てはめると、若い頃に比べ現在は喉が平均1㎝程度下がっている

残念ながら、被験者が少ないこと(検証に耐え得る写真の入手が困難)、撮影条件が曖昧すぎること、の二点により、これ以上の正確な数値を提出できませんでした。
そう、今回はエビデンスが脆弱。
しかし「年を取って滑舌が悪くなったと感じるひとの全員の喉頭が下がっていた」と言う事実は判明したため、ここに報告させていただきました。
以前よりも喉頭の位置が下がっている=懸垂機構の筋力低下、を考えて良いと思います。
やはり言葉を作るのも、発声関与筋と舌の連携運動です。
懸垂機構の筋力低下で、舌のポジショニングや運動性が損なわれ、構音動作に悪影響を及ぼすことは否めません。
さらに正しく証明するには、撮影条件を明確にし、EFE滑舌評価点数(Evaluation of the Flowing Eloquence)を付け、40年以上にわたって長期検証しなければなりませんよね。
今から始めると、わたしは100歳に近づきます・・・
誰か、当実験を成し遂げてくださいませんか?

e0146240_20352185.jpg




追記:知人のボイスアドバイザーが、黒柳徹子さんと西田敏行さんの写真(現在と若い頃)で比較検証したところ「喉頭の位置は多少下がっている」とのレポートを書いていました。とは言え、両者共に極上の咽頭共鳴腔をお持ちのため、年齢に関係なく一流アーチストとして、芸能界で活躍されているものと推察します。
by aida-voice | 2015-05-30 20:44