声の短問短答【続編】329


「習っているボイストレーナーの先生から『閉鎖筋を鍛えなさい』と指導されますが、大切なポイントはありますか?」

声門を閉じるための閉鎖筋には、外側輪状披裂筋・横披裂筋・甲状披裂筋(なお、補助として輪状甲状筋および声帯筋)があります。
これらの筋肉は、残念ながら「それでは、外側輪状披裂筋を2ミリ縮めてごらん」と言われても無理。
どこにあるのか?
どうやって動いているのか?
正しく理解し、感じ取れるひとは世の中に皆無。
以前も書きましたが、左右の声帯の動きを自由に操れると豪語する歌手と共に、医師の協力を得て検証したことがあります。
知人の医師が喉頭ファイバーを挿入し・・・
會田:「それでは、右の声帯だけを広げてください」
某歌手:(首を右にかしげながら)「あーーーー」
医師:「声帯ヒダは左右均等に開いています」
會田:「次に、左の声帯のみ5ミリ縮めてください」
某歌手:(左の首すじに手を当てながら)「うぉ~~~~」
医師:「声帯ヒダの左右の長さは変わりません」
“推して知るべし”との言葉はこのためにあったのかと膝を打ちました。
これらのことから、閉鎖筋を含む発声にかかわる筋肉を意図的にコントロールするのは至難の業。
でも、動いているのは事実。
そこで、動きやすい環境を作ってあげるのが重要なポイントになります。
閉鎖筋は主に甲状軟骨の裏側に存在します。
よって、それらの筋肉がしっかり動けるよう、甲状軟骨と頚椎の間に十分な空間がなければなりません。
この空間が足りない状態(グライディングテストでクリック音が陽性)だと、閉鎖筋は頚椎前面部からの圧を受けて動きが緩慢になってしまいます。
外喉頭の各筋のベクトルは主に頚椎に向かっています。
よって、閉鎖筋の動きが活発になるための発声関与筋の筋硬度は20Tone以下が理想ですね。

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追記:先日、ある優秀なボイストレーナーがお越しになった際、施術後、閉鎖筋に関する質問を受け、「実際の外側輪状披裂筋の場所を知ってください」と告げ、わたしはおもむろに彼の甲状軟骨を反転させ、外側輪状披裂筋の外端部を指先で触れました。彼女はとても驚き、感動していました。「すごい!!!」「そう、ここが声門を動かすための筋肉の一部ですよ」次に、さらに反転させ、披裂軟骨の小角を触れたのです。もう、これは驚異の世界。喉頭に柔軟性のある方は、このような触覚検証が可能です。ご希望の方は、術後に防音室でお申し出ください。ただし、相当の柔軟性が担保されていなければ不可のお話ですからね。

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by aida-voice | 2015-04-06 22:02