輪状甲状関節障害


輪状甲状関節障害


最新研究で、輪状甲状関節上の軟部組織の疼痛を確認しました。
以下、要点を箇条書きでご報告します。

~症例~
50代 男性 職業歌手 声楽家(テノール)
高音発声時に喉の皮膚がピリピリ痛み始めた
会話声には問題ないが、歌唱時に違和感を得る
加えて得意であった高音部が苦手になった
耳鼻咽喉科・皮膚科・整形外科に行くが異常なしと診断される
その状態が1年間続きボイスケアサロンへ来院

~検査~
外喉頭の触知検査・筋硬度計測・グライディングテスト・輪状甲状関節動作チェック・上喉頭動脈血流量測定・ビデオ撮影検査を行う
結果、外喉頭筋や輪状甲状関節および甲状軟骨下角・輪状軟骨関節窩に問題はない
さらなる精密検査を敢行
その結果、輪状甲状関節部に極小の腫脹と圧痛を発見【※左右差あり!】
早速、輪状甲状筋運動テストを実施

~最終結論から
輪状甲状関節に脱臼や亜脱臼は存在しないものの、高音発声時の輪状甲状筋収縮時に輪状甲状関節上軟部組織(関節包:なおこの部位の関節包の存在ははっきりしない)が引き伸ばされ、外力が加わり、極小の痛みと、その痛みからの逃避行動によって、喉の違和感を得ていたものと判断

~改善方法~
甲状軟骨の動きを封じ込めるためプライトン形成による喉頭パッドを作成
外出時以外の装着を促す
同時に直径10ミリの円状に切り取った温湿布を貼付
外喉頭の血流を促進させ治癒能力をアップさせ、輪状甲状関節の運動性を高める目的のボイスケアを毎週一回受ける

~経過~
21日目に違和感が消失(3回目の施術後から)
30日目から高音発声が徐々に戻る
50日を越えてからは一切問題ないレベルへ
100日目以降は発声能力を高めるボイスケアも功を奏し、以前より高音が出しやすくなる
この段階をもって今回の問題に対する専用アプローチは終了

~まとめ~
違和感を覚えてから1年が経過しているため回復遅延が懸念されたが、3か月程度で順調に改善した。
最先端研究でも輪状甲状関節包は確認できていないが、輪状甲状筋損傷や輪状高関節脱臼以外でも高音発声を阻害する外傷や痛みのケースを認識できた。
非常に小さく曖昧な部分ゆえ、病院のレントゲンやMRIでも見つけられず見逃されてしまうが、このような症例はかなり存在するものと考察する。
ただし、その多くは自然治癒がメインである。
繊細な感性を有する歌手や声優にとっては商売道具の小さな不具合のようなものだが、正確な判別と早期の回復が望まれる。
なぜ? それを生業にしているから。
壊れた楽器の演奏を聴きたい聴衆は皆無であろう・・・

e0146240_9461377.jpg





追記1:今回のケースが他の部位の疼痛と似ているような気がしました。それは椎間関節症(ファセットシンドローム)に似た痛み。関連性の問題ではなく、関節構造が多少似ているからなのかもしれませんね。まだまだ研究を深める余地が多くあります。さらに切磋琢磨で研究に勤しみます・・・





追記2:外皮写真および喉頭予想図に関し、当事者から掲載許可をいただきました。供覧したいのですが、喉頭形状によって人物が特定される可能性があるため、今回は割愛します。
by aida-voice | 2015-03-24 12:48