裏声がまったく出ないひとは・・・!?


ある声楽家の先生からの質問です。
「教え子が、どうしてもファルセットが出ない。教え方が良くないのでしょうか?」
どんなに訓練を積んでも、裏声発声ができないひとがいます。
なぜでしょう?
実は、ここには器質的な問題が存在している可能性があります。
これまで数多くの摘出喉頭による声帯ヒダを観察させていただきました。
その結果、声帯ヒダを構成する声帯筋と声帯粘膜の構成断面比は、個人差の大きいことがわかりました。
裏声の根本は、声帯筋振動でなく声帯粘膜振動がメインの状態を指します。
よって裏声が出ないひとは、生得的あるいは後天的に、声帯粘膜の存在比率が少ない可能性があります。
これは、喉頭ファイバーで上から覗いただけでは判断が難しい。
このようなケースがあることも念頭に置いて指導されると良いでしょう。

裏声がまったく出ないひとは・・・!?_e0146240_0454267.jpg
声帯粘膜の表面を触知しているところ〔解剖は医師による〕





追記:打開策は無いのか? 粘膜内部には非常に多くの水分があります。この水分量が減少しても、裏声が出し難くなります。したがって、声帯粘膜を強化するために、ビタミンAやオメガ3脂肪酸を含む食品やサプリメントを摂取するのも良いと思います。そして、乾燥も大敵。マスク・吸入器・加湿器の使用、チョキ開大運動・舌骨引き出しアプローチ〔ハミング付き〕・甲状孔への赤外線LED照射(上喉頭動脈の血流を増やして声帯保湿を促す)なども効果的でしょう。そう、コントロールされたファルセットボイスは、聴くひとの魂を揺さぶります。






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by aida-voice | 2015-02-23 00:49