声の短問短答【続編】236


「日本語の歌と外国語の歌ではブレスが異なるの?」

これは赤飯さんからの質問です。
さすが十二色の音色を奏でる一流アーチスト。(赤飯さんは七色の声を持つとの世評がありますが、わたしは十二色だと考えています。なお、最近はますます喉頭の運動性能が上昇し、さらに声色数は増えていると感じますよ!)
クオリティの高い見事な問いですね。
さて、回答させていただきます。
何よりも知っていただきたいのは、言語の発音様式が大きく異なると、呼気の使い方も違ってくることです。
基本的に日本語音は、母音のみ、および、子音と母音の複合、によって成り立っています。
そして、最大の特徴は、音ごとバラバラに分解できる点。
つ・く・え、パ・ソ・コ・ンなど。
これは単語ですが、文章も細切れにできるのです。
き・の・う・ゆ・う・え・ん・ち・に・い・き・ま・し・た。
はきはきと明瞭に発すれば発するほど、一音一音を切る傾向となります。
このとき、発声関与筋と呼気はどのように作動しているのでしょう。
発声を運動の観点から考察すると、外喉頭と呼吸の筋肉を使って発します。
そして、次の音を作る前に、その流れを断ち切って、動きを止めます。
つまり、100m走を、10m毎に立ち止って、100mを走破するようなもの。
こんな感じ。
ちなみに、外国語の多くは、単語も文章も切ったりせず、息の流れを利用して発します。
そう、同じ例えで表現するなら100mを一気に走りぬく。
どちらが効率良く、楽であるかは、自明の理。
なお、このような理由から、日本人の多くは喉頭周辺筋が硬くなりやすいと考えています。(日本人は10人中8人が筋硬度30Tone以上です!)
この日本語の特徴を十分に理解したうえで、日本語の歌のブレスに取り組むと良いでしょう。
会話(しゃべり)声と歌声の違いは簡単。
根底にあるのは、使っている発声関与筋は同じだと言うこと。
違いは、スピードと呼気の流れ。
つまり、会話(しゃべり)声に、息を流してメロディとリズムを加えれば歌になるのです。
とっても簡単なこと。
しかし日本人は、歌を特別なものとして捉え、マイクを持った瞬間、「いざ歌わん!」と構え過ぎてしまう。
もっと気楽に・・・
話が逸れたので、元に戻します。
歌は、言語に関わらず、息の流れが重要です。
ところが日本語は一音一音に重きを置く言語。
この相反する二つをバランスよく取り入れて歌うことで、聴くひとを魅了する歌唱が仕上がります。
試行錯誤が必要でしょうが、自分の喉頭の特徴と、求める音楽性を考えながら、独自のブレスを作り出してください。
それが叶えば、唯一無二の日本人トップシンガーに成り得るでしょう。

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追記1:一音一音を大切にする日本語を熟知し、なおかつ、息の流れを中心に置いて歌っているのが桑田佳祐さん〔サザンオールスターズ〕ですよね。まさに、独自開発の個性的歌唱様態となり、J-POP界に素晴らしい軌跡を作り上げました。お見事です!




追記2:海外で活躍するオペラ歌手が、日本に凱旋帰国し、日本でリサイタルを開催したとき、ときに日本語曲を歌うことがあります。その際、多くの歌手が口にするのは「日本語の歌って歌いにくい・・・」




追記3:もし、あなたが歌詞も書くのでしたら【J-pop singer-songwriter】、本稿の観点(音声と息の流れ)から、助詞の使い方に注目してください。そう、助詞です。ここに名曲が生まれるヒントがあります!!!




追記4:歌唱用呼吸のための横隔膜の動作を担保するために、①肋間筋の動き、②肋椎関節の可動域、③横隔膜の腱脚の正確な位置を把握、を再確認してください。




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by aida-voice | 2014-06-02 00:02