声の短問短答【続編】229


「大きな声を出しても声が掠れない様になるにはどうすれば良いですか?」

大きな声を出したときのかすれは、声帯ヒダの正常振動の範囲を超え、呼気が声門を自動的に通過し、その結果として生まれる声質の状態。
つまり、呼気の圧力に屈し、空気の流れを音に変換できず、息そのものが流れ出てしまうのです。
このような声質を「かすれる」「ガラガラする」「やぶれる」「破裂する」「息が漏れる」などと表現されます。
観点は二つ。
①声帯ヒダの耐久力が弱く、めくれ上がり過ぎるひと
②呼気が無自覚に大きすぎるひと
問題解消のポイントです。
何よりも、声帯ヒダのめくれ上がりと呼気のバランスを取る能力を養うことですね。
また、①がメインの場合は、安易にめくれ上がらないよう声帯筋を強化するも一法です。
ただし、声帯筋は、存在の感覚も動く感覚も持ち合わせていないため、他動的強化は難しいと考えます。
誰しも、発声時には動いて使用しているわけですから、まずは声帯筋が動きやすい喉頭環境を構築することが大切です。
次に、②がメインの場合は、やみくもに息を吐き続けるのではなく、呼吸の統制力を磨くこと。
もちろん、歌唱用絶対肺活量は大きい方が有利です。
しかし、量ではなく質、ここでは効率がものをいいます。
そして、最重要なのは、大きな声にとって、大量の息が必要である観念を捨てる。
大きな声、特に芸術的な大きな声には、息の量ではなく、各共鳴腔で倍音を構成させながら大きな声を作り上げるのが肝心です。
これは、物理的に可能であることを感覚的に得ています。
それはアンプとスピーカーからわかります。
コントロール性に優れた真空管アンプを用いて、小さいけれど高性能スピーカーを鳴らすと、大きなスピーカーとみまごうほどの大きな音が出てきます。
こんな面白い実験をしています。
目の前に、大きい順に、フォーカル Scala Utopia(スカラ ユートピア)、JBL 4429、モニターオーディオ Platinum PL100、エラック BS 403のスピーカーを横一列に並べ、ユニゾンリサーチ SINFONIA 25th Anniversaryのアンプを用い、バッハのバイオリン協奏曲〔ヒラリー・ハーン〕WAV 192kHz/24bitの曲を流しました。
全スピーカーからリスナーまでの距離は4.5メートルで統一。(近いと判別しやすくなるため、音声音響研究所のリスニングポイントを90度設置変換して実施)
かなり大きな音量でバッハの名曲を流しました。
詳しい音楽情報としては、Bach Violin Concerto No.2 in E, BWV 1042 1. Allegroとなります。
5名に、一人ひとりの状態で聴かせ「今、どのスピーカーから音が出ていると思いますか?」と尋ねました。
正解を述べておくと、最も小さいエラック BS 403です。
ところが、5人中3人が最も大きいフォーカル Scala Utopiaを選び、1人がJBL 4429、残りの1人がモニターオーディオ Platinum PL100を指したのです。
全員、5つある中、最も小さなエラック BS 403のスピーカーから流れていることを判別できませんでした。(なお、モニターオーディオ Platinum PL100を選んだひとは、最後までエラック BS 403と迷ったそうですが…)
このことから、小さな力で、いかに効率よくレゾナンスや響きを作り出すかが重要なのです。
是非、ヒトの共鳴腔の重要さを思い出してください。
繰り返します。
質問の「大きな声を出しても声が掠れない様になるにはどうすれば良いですか?」の答えは、「声帯ヒダのめくれ上がりと呼気のバランスを取る能力を養うこと」となります。
大きな声を出すんだと意気込まず、もっともっと共鳴腔に頼ってあげてください。
そうすれば、あなたの望みを叶えてくれるはず。
それらの有効な対策は、皆さんが受けているボイスケアの中にあります。
どのアプローチがどれに適用しているかの質問は、2014年5月18日~6月1日まで、サロン防音室内でお受けします。
お気軽にお尋ねください。
「なるほど、そうだったのか!」と、ひざを打つ回答をお伝えしますね。
きっと、あなたの極上発声に役立つと思いますよ~!!!

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追記1:ちなみにサイズですが、フォーカル Scala UtopiaはH1247×W393×D670mmで85.0㎏、エラック BS 403がH308×W166×D294mmで7.3㎏です。スピーカーの高さだけでも、約1メートル25センチと約30センチ。こんなに違うのです・・・
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追記2:なお、ユニゾンリサーチ SINFONIA 25th Anniversaryは最大出力27W+27W。音声音響研究所のリファレンスアンプはジェフ・ロゥランド Continuum S2の400W×400Wです。パワーは、かなり小さい。けれど凄い!
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追記3:ヒトの5つの共鳴腔の詳細記事は、目次集か行(が行)から検索してください。



追記4:確かにオーディオファンなら、音の大きさにごまかされず、スピーカーの音色の特徴によって聴きわけたでしょうね。この実験に参加した5人はオーディオには疎い方々。ちなみに、使用機材の詳細は、VAIO Pro 13⇒アイファイオーディオ Mercury USBケーブル1.0mアイファイオーディオ iUSBPowerアイファイオーディオ IFI GEMINI [USB CABLE 1.5m]ヘーゲルHD25オーブ LC-N10-RCA/1.0ジェフ・ロゥランド Continuum S2ワイヤーワールド OAS7/3.0m+2.0m⇒スピーカーです。
by aida-voice | 2014-05-12 00:01