声の短問短答【続編】192


「喉頭クリニカルマッサージとピンポイントマイクロストレッチの違いは何ですか?」

喉頭クリニカルマッサージは(京都大学名誉教授一色信彦先生が命名)、軽擦法や揉捏法を中心に外喉頭の筋肉をほぐし、血流を良くする手法です。
片手または両手の指を使い、皮膚をさすったり発声関与筋をもんだりします。
ピンポイントマイクロストレッチは、個人差の大きい外喉頭の小さな筋肉を探り出し、各筋肉単位で一本一本ストレッチングして運動性を向上させる手法です。
以前は、すべて喉頭クリニカルマッサージを行っていました。
現在は、ピンポイントマイクロストレッチが主流です。
その理由は、喉頭クリニカルマッサージには二つのデメリットがあったからです。
①筋肉および筋膜損傷が多い
これは、喉頭の筋肉が小さく探し難いことと、非常に脆弱であることに起因します。
筋硬度の高いひとは、少しでも強すぎると、痛みを伴って、発声に悪影響となります。
②血管神経性反射によって気を失ってしまう(失神)
手技が頚動脈付近に及んだ場合、迷走神経の反射によって急激に血圧が下がり、一瞬に意識が消失します。
すぐに正常化して後遺症はありませんが、座位の場合、転倒による事故の可能性が生じます。
これらのことから、より安全で、より効果的な、ピンポイントマイクロストレッチを取り入れています。
ただし、ピンポイントマイクロストレッチにも弱点はあります。
それは、外喉頭の筋肉を探し出し、正確にストレッチしなければ効果が発揮できない点。
一言・・・
超難しいです。
その理由は次の二つ。
①発声関与筋は個体差が大きく、場所や数さえ異なるケースがあり、教科書通りにいかないこと
②発声関与筋はとても小さく、相当の触知技術を必要とすること
この点を正確にクリアしなければ、ボイスケアは成り立ちません。
そのために、わたしは日々の指先トレーニングや海外での摘出喉頭(解剖は医師)による触知トレーニングを行っているのです。
初めて受けた方は、ピンポイントマイクロストレッチの繊細さと効果の大きさに驚くはず!
それでも、まだまだ進歩しなければならないと考え精進を怠りません。
現在、探し出せる筋肉は、広頚筋・胸鎖乳突筋・胸骨舌骨筋・胸骨甲状筋・甲状舌骨筋・肩甲舌骨筋・顎二腹筋・茎突舌骨筋・茎突咽頭筋・顎舌骨筋・オトガイ舌骨筋・前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋オトガイ舌筋・咽頭収縮筋・輪状甲状筋です。
加えて、甲状軟骨を反転させ、筋体の一部となりますが、後輪状披裂筋・外側輪状披裂筋・横披裂筋・斜披裂筋が挙げられます。
最後に、喉頭クリニカルマッサージとピンポイントマイクロストレッチとの違いを簡単に述べると、「喉頭クリニカルマッサージは全体的でおおまかな手技、ピンポイントマイクロストレッチは細部におよぶ巧緻な手技」となるでしょう。
この先も、さらに深部や小さな筋肉を探り出し、さらに精度を上げなければと、毎日、懸命に努力しています。

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by aida-voice | 2014-02-21 03:43