声の短問短答【続編】183


「歌の先生に喉の力を抜きなさいと言われますが、それは本当に可能なのですか?」

基本的に、発声に関する筋肉を、正確な感覚を伴って自由自在に動かしたり硬軟変化をつけたりするのは難しいでしょう。
もし、それができるなら、音階のドとラの違い(使っている喉の筋肉やその動き具合)を正しく判別できるはず。
これまで多くの歌手、声優、アナウンサー、役者、音楽教師、ボイストレーナーに会ってきましたが、誰一人いませんでした。
もし、繰り返し指導されるなら、どの筋肉の力をどのようにして抜くのか、問題解決に結びつく正確な弛緩方法を尋ねてください。

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追記1:喉頭の筋肉に柔軟性のあるひとは、喉の力を抜くことが容易。それもほぼ無意識なのです。例えるなら、肩こりの酷いひとに肩の筋肉を緩めなさいと言っても簡単でないのと同じ。そう、喉頭周辺筋の硬いひとは、『喉のコリ』と言い換えても大幅に外れではないでしょう!



追記2
非常に優秀なボイストレーナー(ボイスアドバイザー上席)の星野先生からご意見をいただきました。わたしの無茶な問いに真摯にお答えくださったものです。これは皆さんに役立つ内容です。さすが星野先生ですね!
《掲載のご許可を頂戴しておりますので、手を加えず、そのまま掲載します》




會田先生
いつも喉ニュースを拝読させていただいております。

さて、2月2日の記事「歌の先生に喉の力を抜きなさいと言われますが、それは本当に可能なのですか?」についてですが、

>どの筋肉の力をどのようにして抜くのか
当方の私論と前置きします上で、

・・・

喉の力を抜くことにそれほど難しいチャレンジは必要なく、
まずは力を入れないようにすることでは、と思います。

スポーツジムに通っていた或る生徒さんがいたのですが
おしゃべりは延々できるという方なのに
歌唱となると1曲歌い切るのにぜいぜいとし、
また発声もとても苦しそうになさってました。

喉を見ると、あきらかに首筋が浮き上がっており、
とくにブレスのたびに喉に力を入れて吸い上げるようにしていたので、
ジムでの筋トレの際に首で力み過ぎたり、
日常生活でも無意識に頸部に力が込もりやすい習慣なのではと考え、
重いものを持ち上げるときに首、とくに前頸部に力を入れ過ぎないように、
また日常においても、なるべく首に力をつかわないようお願いしました。

約3か月後、当初は首筋が大きく出っ張ったり引っ込んだりしていたのが、
とても目立たなくなり、本人曰く発声が楽になった、とのことでした。
参考いただけるどうかはわかりませんが、
ひとつの改善例であることだけは間違いありません。

首の周囲が弛緩していれば、呼吸の際にはしっかり気道が確保され、
かつ広がることができると考えており、
良声の持ち主は、首筋が盛り上がるのではなく、呼吸に合わせて
首周囲全体がふくらむのではないかと感じています。
つまり、喉の柔軟性です。

またスローなテンポなら得意だが、アップテンポな曲だと苦しくなるという方も、
急いでブレスを行う際に無意識に首に負荷がかかり、
ブレスチャンスのたびにそれが蓄積されてしまう、
スローな曲ならブレスにも余裕があり弛緩も容易だったのが、
アッパーな曲だと硬直しかけた筋肉の弛緩が間に合ってない状態で
発声に臨まなければならない、負のサイクルになっていると思います。

歌唱という“スポーツ”は、筋肉の緊張と弛緩の繰り返しであり、
100%の脱力は不可能でも、歌唱に悪影響が出ないレベルまでは訓練できるのでは、
とも思います。
首への負荷の軽いスムーズな呼吸のコントロール、
會田先生が言われるところの“美しい呼吸”を身につけることが、
上達への道でもあると考えています。

星野智宏 http://voiceacad.jp/






~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。





by aida-voice | 2014-02-02 03:01