声の短問短答【続編】174


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「茎突舌骨筋に比べ、なぜ茎突咽頭筋は硬くなりやすいの?」

これは当サロンに来る大学生(大阪大学)から頂いた質問。
誠に素晴らしい観点です。
まず、懸垂機構として茎突舌骨筋と茎突咽頭筋があります。〔左右各一本の計四本で喉頭を吊り下げている‼〕
茎突舌骨筋には並走する茎突舌骨靭帯が存在しますが、茎突咽頭筋にはありません。
ここに答えのヒントがあります。
茎突咽頭筋は喉頭を吊り下げるために収縮を旨としてがんばらなければなりませんが、茎突舌骨筋は茎突舌骨靭帯が舌骨を吊り下げる役目を担っているため過大な収縮を必要としません。
つまり、茎突咽頭筋は、①吊り下げる役目、②筋収縮で喉頭のポジションを変化させる、二つの行為をします。
茎突舌骨筋は、①筋収縮で舌骨のポジションを変化させる、たった一つの仕事でOK。
この差によって、茎突咽頭筋は過緊張を起こしやすくなり、その勢いが勝ると、ハイラリンクス状態が作られ、舌骨体および大角が舌を押し上げます。
この状況により、咽頭共鳴腔が狭くなり音色が損なわれ、舌が圧を受けて滑舌が悪くなる・・・
これこそ、茎突舌骨筋に比べ、茎突咽頭筋の方が硬くなりやすいからなのです。
見事な質問でしたね。

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【けいとつぜっこつじんたい・けいとつぜっこつきん・けいとついんとうきん】



追記1:筋高度計を用いて、無声時・会話声発声時・歌唱発声時(ボリュームやピッチを変えて)の茎突咽頭筋と茎突舌骨筋のモーターポイントを何度も何度も繰り返し測ると、起こっている事象が把握できます。根気のいる実験でした・・・



追記2:ヒトの硬い組織(骨・軟骨・歯)で、空中に浮いているのは喉頭だけ。本当に不思議で曖昧で素敵な存在・・・
by aida-voice | 2014-01-24 20:41