声の短問短答【続編】119


「腹から声を出せと言われますが・・・」
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そうですね…、実際にお腹から音声が生成されるわけではありません。
声は、物理的に、声帯で原音を作り、5つの共鳴腔(喉頭室、梨状陥凹、咽頭共鳴腔、口腔共鳴腔、鼻腔共鳴腔)で加工され、口(一部鼻)から出ます。
声の本態は、空気の振動(波)なのです。
つまり、空気を媒介しなければ、音声は伝わらないのです。
お腹の中には空気は入っていませんので、お腹から直接声が出ることは考えられません。
これは、腹式呼吸によって、雄大な呼気を誘発し、張りのある大きな声を求める意味と解釈します。
同様のケースとして、ヘッドボイスやチェストボイスがあります。
やはり、頭部や胸部から声が作り出されるものではなく、その場所に振動を感じるよう発声を行うことで、より良い歌唱に近づける手法ですね。
胸には空気があるじゃないかと問われるかもしれませんが、声帯より下位の場所(気管支や肺)で音(声)が作られることはありません。
肺から呼気として空気が流れ、声帯を震わせ、共鳴腔(メインは咽頭共鳴腔)で音色や響きを味付けし、体外に出ていきます。
この一連の流れを“発声”と称するのです。
ご病気で喉頭を摘出してやむなく食道発声されている方を除き、人類の決まり事。

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追記1:あなたの声を聴くのは、相手の耳の中の鼓膜。この薄い膜が振動し、その刺激が脳へ伝達してはじめて音声と認識されるのです。すべては空気の振動。ここに良い音(声)の大事な大事なキーポイントが隠されています。
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追記2:腹式呼吸も、腹腔を拡大して横隔膜を下げ、胸郭内部の肺に空気をたくさん入れる呼吸。実は、普段の呼吸も、腹式呼吸を使っています。腹腔が広がらなければ横隔膜は広がりません。確かに横隔膜後方から腱脚が第3腰椎前縁に付着して支えていることと、横隔膜は筋組織が充実しているため自動運動が可能である点は間違いありませんが、腹腔内の陰圧および陽圧の影響の方が大です。したがって、腹式呼吸は、誰もが通常行っている呼吸ですが、声のために、より意識して行うことを示唆する語彙なのです。
by aida-voice | 2013-08-22 00:03