痙攣性発声障害Ⅴ 追記特集

痙攣性発声障害(SD) Ⅴ



追記:37
「痙攣性発声障害や発声時頚部ジストニアで片側の肩甲舌骨筋が大きく浮き上がる方は、その動きを制すれば改善への確かな道標となります!!!
延べ16000人以上の方々を外皮から観察し、肩甲舌骨筋の意外な動きが徐々にわかってきました。
中でも肩甲舌骨筋が大きく盛り上がるひとを詳しく調べました。
その結果、周辺筋膜の差異によって二種類の動きを呈することが判明。
中間腱の位置が動かないパターンと斜め上方へ動くパターンに。
前腹と後腹の合力によって移動位置が異なります。
絵図で解説します。
大切なポイントは、各絵の肩甲舌骨筋の動き具合と甲状軟骨のポジションを確認すること。
最初が無声時の肩甲舌骨筋と甲状軟骨。
筋腹(赤線)が細く、甲状軟骨の位置もノーマル。
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さて、肩甲舌骨筋を活動させてみましょう。
まずは中間腱が動かない場合。(緑丸印を動かない)
前腹の影響を受けやすく、甲状軟骨は斜め下方へ向かいます。(黄色矢印)
ローラリンクスの LDP ですね。
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それでは次に中間腱が動くとき。
これは筋膜同士が分離して独立している状態が予想されます。
なぜなのか、正確にはわかっていません。
生まれつきなのか、過緊張が続いてそうなるのか、何らかの外傷なのか・・・
肩甲舌骨筋全体が斜め上方へ移動し(緑矢印)、甲状軟骨は頚椎側に向かい(黄色矢印)、真の LDP を形成します。
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長年にわたり数々検証したところ、痙攣性発声障害や発声時頚部ジストニアの方々に多く見られました。
きっと強い力の作用が加わるからでしょう。
肩甲舌骨筋は表皮に近い外喉頭筋の中で、発声のカギになる存在です。
今回は中間報告の様相でしたね。
この辺りは、まだまだ深く研究しなければなりません。
刻苦勉励を範として続けていく所存です。
今後の新事実にご期待ください。
補足:肩甲舌骨筋の中間腱は頚筋膜を緊張させ、内頚静脈の開在を維持する役目もありますから、中間腱が最適な場所に移動することも、あり得る話しかもしれませんね!?




追記:38
「そちらでの施術直後、声が出し難くなったのですが、なぜですか?」
それは、硬い動きが、急に柔らかくなって、どう動けば良いのかわからなくなるためです。
頻度は多くありませんが、以下のひとにときどき見受けられます。
①強度のLDP
②長年にわたる過緊張発声
③痙攣性発声障害
筋硬度計の数値が概ね65トーン以上ですね。
それでも、正しい発声には喉頭周辺筋の柔軟性が必要ですから、複数回の施術でどんどん馴染んできます。
そうすれば、逆にアプローチ後は声が出しやすくなります。
そして、その感覚を喉が覚えれば、発声は自由になります。
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当サロンでは、歌手や声優に対し、発声関与筋の筋トレを行うことがあります。そう、喉と声のスポーツジムのようなもの。筋肉の脆弱な方は、後日、筋肉痛が生じることもあります。これは乳酸の代謝障害ですよね。数日で解消しますのでご心配なく。順次、強化された筋肉が正しく動き始め、良声へといざなうでしょう。
《補足》
当サロンのSD用のアプローチ後の評価(声の感覚)はさまざまです。
A:驚くほど声が出しやすくなる、
B:喉に力が入らず、ちょっとの間、声が出ない
C:変化なし
この3パターンです。
多数の症例を検証していますと、この病気を乗り越えたのは、Bが最も多いのです。
もちろん痙攣が治ったのではなく、日常生活の発声に影響がないほど、喉頭の運動性と呼吸効率がアップしただけですが。
Aのパターンも改善しますが、やはりBの方が時間的に早い。
そして、Cは残念ながら喉頭のストレッチや呼吸法での改善は難しいと感じています。
確証は得られていませんが、混合型や位相型のSDと思われます。
優秀な専門医の手術をお薦めします・・・




追記:39
「SDの発声は外喉頭の筋肉に影響を与えるの?」
多くの症例を診てきた結果(一色クリニックを含む)、痙攣性発声障害時の発声によって、外喉頭の筋肉にある種の特徴が現れてきます。
罹患後おおむね半年以上を経過すると判別できます。
内転型、外転型、混合型、位相型によって、筋肉の動きや状態が異なるのも特徴です。
内転型は閉鎖筋の過緊張を誘発するために比較的容易に見分けられます。
特異なのは位相型。
声門閉鎖が左右異なるため、外喉頭の筋肉にも左右差が生じます。
では、目視できるか?
喧騒な場所での発声や電話対応による不調時などの症状がひどいとき、LDP現象と共に目視できるケースもありますが、それ以外のほとんどは、精密な触診をしなければ判断できないでしょう。
お大事になさってください・・・
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追記40

《重要》

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今後、喉が詰まる、声が出し辛い、声が割れるなどの状態を主訴とする場合、当サロンでは、チェアベッドを使った加圧発声検査(Push Vocal Test:PVT)を行います。
肋椎関節を軸として背部をプッシュした瞬間、正常な声となるなら、一時的な過緊張発声や強度LDPを疑います。
これは決して病気ではありません。
発声には適さない“癖”のようなもの。
改善の余地はあります。
そして、プッシュしても変化が無い場合、痙攣性発声障害〔SD〕を含む難治の病気の可能性があるため、専門病院へ行くようお伝えします。
これまで多くのSD患者さまに出会い、その外喉頭や呼吸をつぶさに見てきたゆえの、最新検査法です。
かなりの確率で判断できるのではないかと考えています。
ただし、ボイスケアサロンでは、病気の診断や治療は一切行っていません。
それらは、あなたの喉と声を大切に考えてくださる優秀な音声専門医にお願いしてください。
ボイスケアサロンの施術は、健常や病気にかかわらず、声をより出しやすくしたり、さらに声質を良くしたりするのが唯一の目的。
もちろん、発声法や歌唱テクニックを教えたりすることもしていません。

喉を外喉頭から徹底的に整備する。
そう、あなたの大切な声ですからね。
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※繰り返し研究および実験を重ね、本気で考え抜いた検査方法です。そう、PVTは、音声障害に対するわたしの集大成。

★この検査法(PVT)で重要なのは、プッシュする肋椎関節の場所。横隔膜の存在とその動く範囲を予測して決定します。加えて最適圧でなければいけません。弱すぎると、呼気が足りず、検査が成り立ちません。強すぎると、声帯ヒダが大きく弾かれて正確な検査になりません。やはり、肋椎関節可動域拡大アプローチ中に、その圧の具合を探し出すのがベストですね。

★PVT実施の延長上に、実は、喉の詰まりを改善する方策(アプローチ法)も潜んでいるのです。まぎれもなく発声は、声帯と呼気のコラボレーションだから。充実した正確な空気を排出することで、声帯に力は要らない感覚を呼び覚ませれば、この問題は解決に向かいます。ただし、個人差が激しいのも、外喉頭の特徴ですが・・・

★病院での検査法には、現在、確定的な検査はないようですが、うつ病・統合失調症・双極性障害の鑑別診断に用いられる光トポグラフィで脳の血流変化を測定することによって、今後、SDの正確な状況を解明できることを期待しております。

★病院で痙攣性発声障害や発声時頚部ジストニアなど診断された方には、これまで「アタランス・トリートメント」を行なってきました。現在、さらに効果的な訓練法「ハミングスピーチ」も完成しつつあります。ご期待ください!!!!!!!!!

★音声障害に苦しむ方々の辛さを知ってください。わたしは難治性音声障害ではありませんでしたが、小学生のとき発声困難で辛苦をなめました。今、次女もジストニア罹患で就業不可となり苦しんでいます。声が思い通りにならないって、本当に・・・
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PVT 無料検査会
喉が詰まったり声が割れたりして日常生活で困っている方々に対し、病気を診断する目的ではない旨を承諾いただいたうえで、PVTの検査のみ無料で行う予定です。〔奉仕活動の一環ゆえ施術は行いません〕
日時や申し込み方法が決まりましたら、喉ニュースや目次集講習会情報ページでお知らせします。




追記41 

《重要》

SD〔痙攣性発声障害〕改善訓練法に大きな効果が期待できる一つとしてハミングスピーチを開発しました。
長い時間と多くのSDの方々のご協力を得て、試行錯誤の末の誕生です。
やり方は、超簡単!
ハミングをしながら徐々に言葉をくっつけるだけ。
息の流れを感じ取り、声の割れや詰まりを防ぎます。
お試しください。
正確な訓練法は以下の手順。
① チェアベッド等で顔を下(地面方向)に向ける
② 喉頭の自重を利用しながら舌骨体に指をかけて引き出す
③ 音色や響きの根源である咽頭共鳴腔を広げる
④ その状態で呼気を止めないよう小音でハミング〔m or n音〕
⑤ 3秒以上経過したところで徐々に開口して母音を発する
⑥ 「あいうえお」を順に行う
⑦ 挨拶文や名前などでも敢行する

正しい方法でなければ効果は半減以下
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★詳しい原理はサロン内でお尋ねください。なお、SD以外にも、音声震戦症や過緊張性発声障害にも適しています。ただし、医師からの紹介依頼がない限り、声の病気の直接的な施術は行っておりませんのでご了承ください。
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~メッセージ~
この記事は往時の外喉頭外来〔医師と共同研究〕時のデータに基づくものです。よって、不確かな蓋然性も高く、内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。現在は病気に対するアプローチは行っておりません。声の不調は医師にご相談ください。
by aida-voice | 2008-04-28 09:00