声の短問短答【続編】88


「舌骨喉頭蓋靭帯の触診は難しいって聞きましたが本当ですか?」

はい、外皮からは不可能ですね。
舌骨体の内側中央近くにあるから。
絶対に指は入りません。
なお、摘出喉頭による触診なら可能ですが・・・
アメリカで医師の指導の元、指先による舌骨喉頭蓋靭帯の線維判別に何度もトライしましたが、目視も不可能に近いため、簡単ではありませんでした。
触診のポイントは舌骨喉頭蓋間の軟部組織内の微妙な圧の違い。
それを探し出し見極めます。
下は、右示指先で、ようやくピンポイントで触れている様子の絵(写真を絵図に変換)です。
赤楕円の奥内部に存在します。
声の音色を良くする咽頭共鳴腔の拡大やベルカント唱法には欠かせない舌骨喉頭蓋靭帯。
毎度、細くて小さいのに驚きます。
偉大な舌骨喉頭蓋靭帯に感謝します・・・

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追記1:正確な触診ができなければ、効果的なアプローチはできません。外喉頭の知識はもちろん、何よりも指先の触覚の練磨が必須。相変わらず、日々、いろいろな物に触れ、常に感覚を養っています。例として、①砂粒の大きさを比べる、②糸の太さを比較する、③テーブルの凹みを見つけ出す、④皮膚の畝様線の密度変化を調べるなど、あらゆる物体の表面がわたしのトレーニング場なのです。




追記2:以前、「舌骨喉頭蓋靭帯断裂と診断されました。治すことはできますか?」と質問をいただいたことがあります。上述の如く、①舌骨の内部に存在し、外から確認できないこと、②コラーゲン線維から成る小さな結合織束で、MRIでも確認が困難であること、により判断が難しいため、そのような症例に出会ったことがありません。舌骨喉頭蓋靭の周囲には軟部組織も多く、単独で損傷するには、どのような原因で起こったのかも知りたいところです。したがって、舌骨喉頭蓋靭帯断裂に関しては、お役に立てず申し訳ない旨を伝えました。〔蛇足ですが、原因を勝手に推測すると、舌骨体をピクリとも動かないようしっかり固定し、肉など大きめの固形物を噛まずに一気に素早く丸のみしたら、喉頭蓋が急激に下制され、舌骨喉頭蓋靭帯が伸び切って、断裂が起こるかも???〕
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追記3:この舌骨喉頭蓋靭帯は、ボランティアで行っている「嚥下ストレッチ」の施術にも重要な部位なのです。
by aida-voice | 2013-06-02 02:47