ハイラリンクスを直すための喉頭引き下げは危険!?





喉頭蓋を知っていますよね。
嚥下時にふたをして食物が気道に入るのを防ぐ、葉っぱの形をした軟骨板。
作用は以下の流れ。
1:嚥下の随意的始まり
2:気道の反射による閉鎖
3:食べ物を食道へ送り込む(反射)
口の中で噛む、飲み込むまでは意識的に行えますが、そこから先は無意識の領域。
喉頭蓋がふたをされて梨状陥凹から食塊が食道へ流れる一連行為を感じ取ることは難しい。
さて、嚥下時を外皮からつぶさに観察すると、飲み込む瞬間、喉頭がグッと上がるのを確認できるでしょう。
のどに手をそっと当て、唾を飲み込んでください。
一瞬、のど全体が持ち上がるのがわかるはず。
これを行うのが、口腔底の筋肉(顎二腹筋と顎舌骨筋)と甲状舌骨筋です。
では、飲み込みが終わって、のどを下げる筋肉は?
主に胸骨舌骨筋と肩甲舌骨筋。
また、喉頭は茎突舌骨筋と茎突咽頭筋で吊り下げられているため、喉頭自身の重さも利用しています。
したがって、力を抜けば、ニュートラルなポジション(嚥下・摂食の最終相)に戻ります。
歌唱時のハイラリンクスを改善するために、無理やり喉頭を引き下げる手法があります。
一度は聞いたことがあるでしょう。
「ほら、もっと喉を下げなさい」や「のどぼとけを低くして」と。
甲状軟骨を引き下げれば喉頭蓋は立ち上がって、声道が開きます。
つまり、声には GOOD な状態。
実際、この喉頭蓋が大きく開いて呼気がスムーズに流れている状態での発声法をベルカントと称します。
これだけなら、良法と考えますが、そうではなさそう・・・
力ずくで引き下げると二つの弊害を生じる恐れが確認されています。
1:懸垂機構の Tension が増して発声運動の自由度がなくなる
2:共鳴腔が縦に伸びて体積が減少し音質が低下する
では、どうすれば良いのか?
喉頭を真下に下げるのではなく、舌骨を前方に移動させる方向をお薦めします。
これによって、ハイラインクスの解除と共に、舌骨喉頭蓋靭帯により引っ張られて声に最重要の咽頭共鳴腔が広がります。
そう、一石二鳥。
ただし、舌骨を前方に引き出す明確な筋肉は存在しないため、何よりも喉頭の柔軟性が必須となります。
気管から喉頭は、身体の垂直〔青線〕に対し、斜め〔赤線〕になっています。【下図参照】
この図から、喉頭をホールドするために喉頭周辺筋のベクトルが頚椎方向がメインとなっている理由と、正しく力を抜けば舌骨は前に出てくることがわかりますね。
最後に一言。
嚥下には必要、でも声には厄介な喉頭蓋・・・





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 會田茂樹|あいだしげき 




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by aida-voice | 2017-02-24 00:52