ダムラウ大解剖【過去記事再掲載】




以前、ディアナ・ダムラウに関する映像提供を求めたところ、数多くの情報をいただきました。
誠にありがとうございます。
それから数年間、徹底的に検証しました。
動画を徹底的に見ました。
何度も何度も。
重大な事実が二点わかります。

①喉頭の動きが非常に良い

②下顎が前下に動く

実は、過去、「ダムラウは顎を前に出すことで咽頭共鳴腔と口腔共鳴腔を構築して素晴らしい音色を完成させている」と考えていました。
これを即時に発表しなかったのは「何かが足りないような気がする…」との思いから。
その後も、彼女の動画を静止画にして何枚も重ね、さらにスケッチを描き、繰り返し検証しました。
同時に、最高のオーディオ機材で歌声を聴き込みました。
ダムラウの歌声に、わたしは移りゆく大自然の四季を感じます。
高音の美しさに、いつも実験を忘れて聞き惚れていました。(微笑)
そして、ついに解明できたのです。
ダムラウの喉頭の柔軟性と運動能力に関しては、またの機会とし、下顎の動き方。
それは、ダブルアクションであったこと。
つまり、前方突き出しだけでなく、真下への移動も伴っていたのです。
それらを同時に、あるいは若干タイミングをずらして行っている。
すごいぞ…
わたしは絶句しました。
ある声楽家に、同じ動きをしながら試唱してもらったところ、これまでにない滑らかで芳醇な音色が出てきました。
日本人歌手に不足しがちな高音部の厚みも感じ取れました。
ただし、ポイントがあります。
それは顎関節の動きに沿うものでなければならないこと。
無理に突出させたり下制したりすれば、ぎこちない作為的な声になります。
この点は解剖学を十分に熟知していなければなりません。
ディアナ・ダムラウに関しては、まだまだ研究すべき個所がたくさんあります。
呼吸もその一つ。
歌唱時の全身像を見ていると特異的および天才的な呼吸を知ることとなります。
そう言えばアンジェラ・ゲオルギューも似た呼吸をしていましたね。
下の絵はダムラウの喉と顎をスケッチしたものです。(似ていなくてゴメンナサイ)
青色矢印のベクトルに注目。





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皆さんも、今後、映像を見る際は、喉・口・呼吸の三点を注視しましょう。
一流の歌手を研究すると、本当に勉強になりますよ!





追記1:2013年2月17日の記事「日本で一番歌がうまいのはこの人だ… 雑誌より」でも紹介したように、ダムラウと第3位に選ばれたちあきなおみさんの口顎周辺の発声運動は酷似しているのです。




追記2:ものまねタレントのコロッケさんが、ちあきなおみさんのものまねをしていましたよね。「なるほど、的確に見ているなぁ」と感心します。加えて、コロッケさんの喉を詳しく観察すると、咽頭共鳴腔が大きく、その動きも活発で、優秀な喉頭をお持ちのようです。(直接検査したことはありません)




追記3:極秘にしている話を少し。ダムラウの美声の特徴には続きがあります。曲中の呼気の長さを測り、音圧との関係を探り出してください。そう、いわゆるブレスグラフですね。時間をかけ、彼女のCD「コロラトゥーラ・アリア集」全曲の正確なブレスグラフを製作しました。これを見れば、驚くべき事実を目の当たりにするはず!




追記4:同時に、気の遠くなるような地道な作業を経て完成させた、桑田佳祐さん、稲葉浩志さん、宇多田ヒカルさん、MISIAさんのブレスグラフもあります。【極秘ゆえ、懇願されてもお見せできません】




追記5:《余談》
歌声を聴き、感動し、「この人と同じように歌いたい・・・」と練習と研究を重ねた歌手、それがルチアーノ・パヴァロッティ。
入手でき得るすべての音源と映像を、きっと何百回、いいえ何千回も見聴きしたことでしょう。
もちろん、以下のブレスグラフは作ってあります。

Caro mio ben
Core 'ngrato
La donna è mobile
Nessun dorma!
'O sole mio
Torna a Surriento
M'appari
Caruso
E lucevan le stelle
Una furtiva lagrima
Mattinata
Recondita armonia
Donna non vidi mai
Che gelida manina
La fleur que tu m'avais jetée
Celeste Aida

そう、わたしの名字の「Aida」の歌さえあるのです。
つまり、宿命!!!
これらは大切な大切な資料。
ブレスグラフからも、真似したくとも、通常ではルチアーノ・パヴァロッティの歌唱用呼吸は難しすぎる事実がわかります。
あの胸郭、喉頭と顎内部の大きさ、そして動きの活発さ・・・
最高で極上です!





~メッセージ~
この記事は投稿時(2013年3月)の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。







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by aida-voice | 2016-09-11 10:56