声の短問短答【続編】49


「喉の力の抜き方を覚えてしまえば歌って本当に簡単ですね!」

おっしゃるとおりです。
歌のうまい方に尋ねてください。
きっと「何も考えずに、高音や低音やミックスボイスなど、感じるまま自然に出てくるよ」と言うはず。
そう、歩くとき〔歩行〕と似ている。
足が不自由なひとでない限り、いま右足が地面を蹴ったとか、いま左ひざの角度が45度になった、なんて感じないし考えもしないですよね。
これと同じです。
常日頃、発声関与筋の柔軟性を十分に獲得していれば、いざ本番のとき、ちょっと緊張してちょうど良いくらいの筋肉となり、発声運動を開花させることができるのです。
だから、わざわざ「喉の力を抜くぞ~」と考えなくてもOKなのです。
喉頭の筋肉は自律的に動かす感覚が抜け落ちているため、意図的に力を抜くのは難しい。
「力を抜くぞ~」と念じて、逆に力んでしまう。
これでは本末転倒ですよね。
普段の有り余る柔軟性が大切です。
どの筋肉が最重要か?
まずは、何より運動範囲の制限にかかわる咽頭収縮筋でしょう。
これは嚥下・摂食のための筋肉ですが、硬化すると声に悪影響を与えます。
もちろん、食べたり飲んだりする行為には問題ありません。
声も出ます。
歌も歌えます。
ただ、発声効率が多少下がるだけ。
例えるなら、ダイビングのウエットスーツを着た状態でダンスを踊るようなもの。
声を大切に思っているボイスユーザーには、ちょっと辛い状態なのです。
喉の力の抜き方を覚えてしまえば、歌は簡単。
その一番の条件として、咽頭収縮筋の柔軟性を獲得しましょう。


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追記:咽頭収縮筋のプチ情報をお伝えします。機能は嚥下運動時に咽頭を収縮すること。そして、咽頭収縮筋は上・中・下と分かれます。なお、上咽頭収縮筋は喉頭の自由度への影響は少ないため割愛。中咽頭収縮筋の起始は舌骨の両角と茎突舌骨靭帯で停止は後正中逢線。下咽頭収縮筋の起始は甲状軟骨の斜線と輪状軟骨の側部で停止は後正中逢線。ここまでは嚥下に関する一般常識。ここからは発声に関する外喉頭からの理論。中咽頭収縮筋は音色、下咽頭収縮筋は音高にかかわってきます。つまり中咽頭収縮筋の柔軟性が落ちると音色や響きも落ちる。下咽頭収縮筋の柔軟性が低下すると高音が出難くなるのです。それぞれの起始と筋線維の走行を考えれば論を俟たない。さらに詳しい内容はまたの機会に・・・


《下絵は咽頭収縮筋を右後方から見た状態》
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by aida-voice | 2013-02-07 00:04