声の短問短答【続編】43


「輪状甲状筋は皮膚の上から見分けられないの?」

はい、99.9%のひとは、皮膚から見ただけで判断するのは難しいでしょう。
なぜ?
まず、輪状甲状筋は輪状軟骨前面と甲状軟骨板に付着しています。
この筋肉の直上に甲状腺が存在します。
さらに、胸骨甲状筋、胸骨舌骨筋、広頚筋、皮下脂肪、皮膚と続きます。(ひとによっては肩甲舌骨筋の一部が通過している)
これだけの層をなしているため、相当、筋腹が発達していない限り、皮膚上から見分けることができません。
けれども繊細な触診を行えば、正しい場所や大きさ、左右差や斜部と垂部まで、きちっと判別できます。
ただし甲状腺の個体差によって困難なケースもあることを知っておいてください。
アメリカの研究施設(メイヨークリニック)で摘出喉頭〔解剖は医師による〕に何度も触れ、わたしの指に軟部組織の感覚を叩き込みました。
思いのほか厚みも弾力性もあり、この分泌腺臓器を通して触知するのは、一筋縄ではいかないことを確認したのです。
内容がやや脱線しましたが、通常、輪状甲状筋は皮膚の上から目視できません

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断面模式図
A:甲状軟骨、B輪状軟骨、C:輪状甲状筋、D:甲状腺、E:胸骨甲状筋、F:胸骨舌骨筋、G:広頚筋、H:皮下脂肪、I:皮膚



追記1:「ハイトーンボイスのトレーニングをしていたら、輪状甲状筋が見えるようになったよ」との話は真偽のほどはわからないと思われます。上記のごとく、簡単に見えないのですから。さらに、ほとんどのひとが、自分の輪状甲状筋の正確な場所を知りません。指し示していただいても、適当すぎますね。



追記2:「ハイトーンボイスのトレーニングをしていたら、輪状甲状筋の動きがわかるようになったよ」との話も真偽のほどはわからないと思われます。ヒトの骨格筋(随意筋)は約六百三十本あり、その中の発声関与筋は二十数本。発声関与筋も随意筋なのですが、運動感覚を持たない筋肉たちばかり。もし輪状甲状筋の動きをピタリと感知できる能力をお持ちの方がいらっしゃったら、それは人類70億人の中でも稀有な御仁ですね。



追記3:甲状軟骨下部がふくらんできたとき、安逸に輪状甲状筋の筋肉がついてきたと考えず、もしかするとバセドウ病や甲状腺腫瘍(會田も罹患中)の病気の場合もありますから、甲状腺専門病院で診てもらいましょう。




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by aida-voice | 2013-01-22 00:03