読経の科学

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読経。
ご存じの如く、お坊さんのお経の発声です。
実験検証にあたり、いくつかDVDやCDなど音源を購入して聞き比べてみました。
さらに寺院を数ヶ所訪れて、読経を聴きながら、お坊さんたちの喉元をじっくり観察してきました。
最初に全体の感想から。
ゆったり穏やかな雰囲気が漂い、心の中に染み入るような重低音。
そして独特な節回し。
おごそかな心地になってきます。
やはり、わたしも日本人なのだと実感します。
さて、どのように発声しているのか考えてみましょう。
まず、声質が似ている歌があることに気づきますよね。
そう日本古来の和の歌に。
常磐津、小唄、詩吟などですね。
これらの発声にはフィジカルに共通する特徴があります。
それは「軟口蓋付近の上咽頭共鳴腔を多用している」ことです。
この一言に尽きます。
さらに読経の場合は、硬口蓋の位置をある程度一定に保っているのも特徴的ですね。(口を上に大きく開けない)
また、お経を読む場所も関係しています。
日本のお寺は木造建造物で、声が吸収されやすい。
しかし西洋の教会は、十分な声の響きが生まれる。
この違いは大きいですよね。
お経も他者に伝えるのが大切な役目です。
聞こえなければ意味がありません。
よって声量を大きくするために呼気を増す必要があります。
読経の科学と大それた題名をつけてしまいましたが、わかったことは三つ。
①軟口蓋付近の上咽頭共鳴腔を多用している
②硬口蓋の位置をある程度一定に保っている
③呼気を十分に活用している
読経って奥が深い・・・


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追記1:当サロンには、声を良くしたい、あるいは、音声障害になり難い喉体質への改善を求め、僧侶や神主が全国からお越しになっています。実は、上記の①②③を実践しなければ、声帯結節に罹患しやすい職業の一つなのです。さらに、過緊張発声やLDPに陥りやすいデータも多く存在します。




追記2:読経と歌舞伎や能の発声にも共通項がありますね。わたしは歌舞伎も能も観劇するのが大好きです。昔、市川染五郎さんの楽屋へ伺ったことがあります。平成24年に舞台のセリから転落して大ケガを負いましたが、翌年に復帰して舞台に戻られました。本当にうれしかった。それにしても日本の伝統芸能って素晴らしいですね。




追記3:読経は、古来より経文を伝えるのが目的ですから、より多くの大衆に興味を持って聞いてもらうため、特異かつ軽妙な節をつけたのかもしれませんね。





喉と声のスポーツトレーニング&リラクゼーション
 ボイスケアサロン
 會田茂樹|あいだしげき 




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~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。




 
by aida-voice | 2016-07-07 03:43