声の短問短答99


「輪状甲状筋の直部と斜部は重なりあっているのは本当なのでしょうか?」

解剖学アトラスや喉頭機能模型で輪状甲状筋の起始停止の様子がわかります。
多数の書籍や各種の模型を調べてみると、3パターンありました。
①垂部(直部と呼称可)が斜部の一部にかぶさっているパターン
②斜部が垂部の一部にかぶさっているパターン
③垂部と斜部が重なっていないパターン
どれが正解でしょう?
実は、わかりません。
摘出喉頭(解剖は医師)による発声筋の触知研究で、
複数の Raw soft tissue and larynx を何時間もかけて触らせていただきました。
その結果、明らかに垂部と斜部を判別できたのは半数以下で、それ以外は、どこまでが垂部でどこまでが斜部かがわからないケースが多かったのです。
輪状甲状筋は、小指の爪ほどの大きさと厚さ〔筋厚の個体差には参りました〕。
さらに筋膜と筋組織が入り組んで・・・
そうです、ひとえに、わたしの触診技術がまだまだ未熟だと反省しております。


※声の短問短答の詳細※


追記:指先の触診を磨くため、昔から以下のトレーニングを欠かせません。
● 数粒の細かい砂を用意し、指先の感覚だけで大きさの順に並び替える
● 紙の下に置いた髪の毛の場所や形状を探る(徐々に紙の枚数を増やす)
● 食肉(牛・豚・鶏)にタッチし、筋線維の数をかぞえる
● 柔らかい豆腐を崩さないよう持ち上げる(豆腐の形状を次々に変える)
そして何よりも多くの喉頭外皮に触れること。
これまでに延べ18000人もの方の喉を診させていただきました。
by aida-voice | 2012-08-31 00:08