声の短問短答70


「ゲルマン系やラテン系の欧米の人達のようにアルコールを分解する酵素を持っていてもアルコールは声帯に影響がありますか?」

あると思います。
以下が詳細です。
飲酒と声の関係には、①アルコール摂取による体内での影響と、②アルコール成分そのものによる影響に、わけて考えることが必要です。
まず①です。
お酒を飲むと、胃や小腸から吸収され血管に入ります。
飲み始めの少量時は、血流が促進されたり体温が上がったりします。
この段階で、多くのひとは声が出しやすくなります。
それは、声帯も筋肉と粘膜で構成されていますから、血液循環の向上と組織温度の上昇で活発的になるから。
ここで注意点があります。
多くのひとはと書きましたが、少数ですが飲んだ直後から声が出にくくなるひともいます。
長年にわたって声帯筋を硬くしながら発声してきた癖のあるひとは、突然、声帯が動きやすくなると、逆にどうやって動かせばよいのかわからなくなってしまうからです。
これに該当しやすいのが、病気でないケースとして過緊張発声や LDP のひと、病気のケースでは痙攣性発声障害(SD)や音声震戦症などですね。
よく質問を受けるのが「同じSD患者なのに、アルコールを飲むと、僕は声が出しやすくなるけど、知人は出しにくくなるって言っていた。なぜ?」です。
ここに答えがあります。
時間が経過し酒量が増えると酩酊します。
この状態では運動能力が落ちるのは語るまでもありませんよね。
同様に発声能力は低下し、声質が悪化します。
また、飲酒後の声帯の浮腫み(むくみ)も、声帯ヒダを重くして低音化させたり、声帯内圧の高まりで声門が開いてしまい嗄声(かすれ)を生じたりします。
次に②です。
これはアルコール成分による声帯への攻撃を意味します。
体内に入った血中アルコールは、肺から呼気アルコールとして出ます。
ご存じのように、警察の検問で用いられるアルコール検査も、呼気からのエタノールの濃度を計測しています。
このエタノールが声帯に刺激を与え、声を出し辛くします。
生理学的な推測に過ぎませんが、第一に声帯粘膜の水分を奪って振動力を低下させること、第二に粘膜から再吸収される可能性があること、第三にアルコール過敏症のひとは粘膜腫脹を引き起こしかねないこと、が考えられます。
これらのことから、ご質問の答えが導きだされます。
アルコール分解酵素がよく働く方が発声へのダメージは少ないかもしれませんが、やはり何らかの影響は避けられないでしょうね。
とは言え、アルコールは害もありますが、少量の飲酒は益にもなり得ます。
うまく付き合うと良いでしょう・・・


※声の短問短答の詳細※


追記:これでは短答になっていませんね。すみません。アルコールと声に関しての最新&最詳の記事となってしまいました!
by aida-voice | 2012-08-18 03:23