声の短問短答66


「声帯にも利き腕みたいなものはありますか?」

あると思います。
この短問の短答にあたり、最初に知っていただきたいヒトの左右差に関しての眼目があります。
医師との共同研究で、何度も喉頭ファイバーで各種発声時の声帯を撮りましたが、左右シンメトリーに存在したり動いたりしているケースは少ないと覚えています。
もちろん、スローや静止画にしなければわからない程度の左右差ですが。
さらに、外喉頭から触診しても、右と左が同じ筋状態であることは稀ですね。
他の部位を思い出してください。
右脚と左脚の長さは、同じではないはず・・・
右腕と左腕の太さは、同じでなはいはず・・・
二つ以上あるヒトの器官が、寸分違わず同一形状であることは考えられません。
このように、左右差がある。
したがって声帯も左右で、形状・大きさ・圧さ・硬さが微妙に異なります。
そこで、もっと詳しく外喉頭筋の左右差を調べてみると、発声に際し、頻繁に動いている発声関与筋を見つけることがあります。〔主に閉鎖筋や輪状甲状筋〕
「あっ、いま、これは右の声帯を懸命に使っているよ」と。
基本的には両声帯を使って声を作りますから、右投げ左投げと区別する野球のピッチャーのように明確ではありません。
また、右利きだから右の声帯を優位に使っているとも断言できません。
やはり、極上の発声は、左右の声帯をしっかり使いきることにありますからね。
以上から、ご質問の答えを導き出したものです。


※声の短問短答の詳細※


追記1:片側の反回神経麻痺の場合、一つの声帯が動かなくなります。嗄声(かすれ)が主症状ですが、喉頭の基礎運動能力を高めると、苦にならないほど改善できるケースが多々あります。これは、健常声帯の運動性が格段にアップするからです。本来なら声門正中までしか動かない声帯が、もう一方の声帯近くまでグッと寄って声門をピタッと閉じてる。人間の身体って素晴らしい!!!


追記2:外的原因による反回神経損傷にご注意ください。甲状腺や心臓の手術による反回神経断裂は甘受しなければならないかもしれません〔命が最優先されるべき手術であるため〕、注意を怠ったため首に衝撃が加わったり強度なマッサージでなったりしたら、遺憾に堪えません。自己に原因がある事故で発症し苦しんでいるひとを知っています。本当に辛いです・・・
by aida-voice | 2012-08-17 11:22