声の短問短答21


「痙攣性発声障害(SD)は治らないのですか?」

現代の医学では、原因も根治療法も確立されていないようです。【わたしは医師ではないので、この病気の診断も治療も行っていません。詳しくは専門医にお尋ねください】
ボトックス注射は、関与筋を麻痺させ症状を緩和しますが、一過性です。(3か月程度で戻ってしまう)
手術には、喉頭枠組みタイプと内筋切除タイプがあります。
どちらも利点と欠点があります。
過去に、SDの手術の様子を、一色先生や渡嘉敷先生に何度も見学させていただきました。
お二人とも、日本を代表する優秀な音声専門医です。(とくにSD)
しかし、残念ながらSDの根本を治すものではなく、症状を抑えるものとなります。
それでも、声が出しやすくなり、日常生活に支障がなくなれば大成功と言えるでしょう。
また、当サロンでは、すべての音声障害に通じるのですが、病気を治すのが目的ではなく、発声運動の基礎能力をアップさせることにあります。
声が詰まる・割れる・揺れる・苦しい・かすれるなどの症状を改善するのではなく、まず、これらの症状を呈すると必ず喉頭周辺筋が過緊張に陥ります。
発声はスポーツと酷似しているため、筋肉を固めてしまうと運動性能は落ちます。
つまり発声力は低下します。
さらに、長年にわたって罹患していると、慢性的な筋硬化となり、どうやって声を出せばよいのか、喉もわからなくなってきます。
そう、身体にロープをぐるぐる巻きにしてスポーツに臨むようなもの。
したがって、最初に喉頭の筋肉を詳しく調べ、次にターゲットを絞って、該当筋に柔軟性を与える各種アプローチを施行します。
柔軟性を獲得したら、次は、代償性運動の惹起。
例えると、道路が渋滞しているなら、迂回して他の道を利用するようなもの。
痙攣する部位(筋肉)と動きを熟知すれば、その法則を理解し、そこを逆利用したり他部位をうまく使ったり・・・
ただし、これらを獲得するには 『遠大なアプローチ時間に耐える力』 『研ぎ澄まされた感性と運動能力』 『遅々としか進まない改善にも諦めない根気』 の三要素が必須。
ほとんど途中でやめてしまいますね。
ゆえに、当サロンでSDを踏破する確率は低いのです。
ただし、自分自身でゲットした運動性能は一生涯の宝になります。
これは、歌手や声優など、声や歌を良くしたいひとにも当てはまりますね。
どちらにしても一朝一夕ではありません・・・
一刻も早く、痙攣性発声障害が治る薬が開発されるのを心から願っております!


※声の短問短答の詳細※


追記1:上記のことから、当サロンの施術を希望する場合、痙攣性発声障害の根治はできないことをご理解ご納得いただき、それでもチャレンジしたい場合のみお越しください。じっくり十分に検討してください。


追記2:わたしも小学生のとき、過緊張発声障害で苦しみました。詳しくは過去記事 『喉が詰まる… 私の症例』 をご覧ください。聞き返される、腹から声を出せと罵倒される、声が小さい=気の小さい男だと決めつけられる、すぐに喉が疲れるので誰とも話したくなくなる etc. 耳鼻咽喉科でも大学病院でも問題なし。近所の内科では、仕方がないので慢性気管支炎と。その薬漬け。こんな状態と闘い克服してきました。したがって、音声障害の方々の気持ちは痛いほどわかるつもりです。かと言って、わたしには病気を治す力も資格もありません。最後の頼りで当サロンにお越しになりますが、わたしは無力です。なぜなら、良くするのは、あなた自身の力なのですから。歯を食いしばって来院し続ける方には、全力で最善のアプローチをお約束します。わたしにできるのは、これだけです・・・。無力を申し訳なく感じております。
by aida-voice | 2012-08-06 05:11