密閉型ヘッドフォンと声


先日、優秀な女性ナレーターから「収録のとき、ヘッドフォン着けた状態でしゃべると、顎関節の動きが悪くなるような気がするのですが…」と尋ねられました。
わたしは驚き、答えました「おぉ、確かに。十分、考えられることですよ」と。
一般的に、ヘッドフォンは音を聴くために作られています。
製造会社は、装着しながら声を出すことを主眼にはしてないはず。
そこで、数種類のヘッドフォンを使って発声状態を検証してみました。
注目すべき点が二つありました。
一つ目は、密閉型で、ヘッドバンドがきつく、イヤーパットが硬い品。
二つ目は、上記の品を装着したとき、イヤーカップが顎関節上に来る、または、関節上を覆ってしまうケース。
この条件が伴うと、ヘッドフォンが開口運動を邪魔することとなります。
実際に、未装着時と装着時の発声(単音ロング)を録音検査したところ・・・
①可聴域の音圧が下がってしまった〔下のパワースペクトル参照:左グラフが未装着、右が装着時〕
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②声の明瞭度が減少した
③こもった音になった
④開口率ならびに開口速度が落ちた
やはり、このような状況では、正確かつビューティフルな発声が難しくなります。
スタジオ収録の場合、ヘッドフォンを外したりずらしたりすると、音が漏れてマイクに拾われてしまいます。
そのため、密閉型の装着は必須です。
対策です。
①イヤーパッドの柔らかい品をチョイスする
②自分にフィットするヘッドフォンを使用する
③顎関節の動きに影響を与えないイヤーカップを選ぶ
④装着前に顎の動きを良くするストレッチ体操を行う
⑤装着前に頬筋・顎二腹筋・外側翼突筋のマッサージを行う
このくらいでしょうか。
ナレーターやラジオアナウンサーだけでなく、ヘッドフォンを使用しながら発声する歌手や声優さんも、十分にご注意くださいね。
あなたの素晴らしい発声能力が、損なわれてしまう可能性もあるのですから。







追記1:頭蓋骨の模型に密閉型ヘッドフォンを着けた状態の写真(上)と頭蓋骨側面にヘッドフォンの及ぶ部位を作図した写真(下)〔オレンジ丸がイヤーカップ、赤丸が耳孔〕を供覧します。これらの写真から、開口や発声に影響があるのも予想できますよね。
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追記2:女性シンガーソングライターの森永真由美(Mayumi Morinaga)さんからも、同様のご意見をいただきました・・・。やはり女性は顎関節窩が浅いため、開口に関しては細心の注意が必要なのですね。
by aida-voice | 2012-06-20 04:07