「楽に歌う」というのは、「弱い声」や「小さい声」とは違う


Past Article Reorganization

ある方が「ボイストレーナーから力まずに楽に歌いなさい」と指導を受け、脱力して歌ったところ「声が小さくなってしまいました」とおっしゃっていました。
実は、力を抜くというのは、発声に不必要な力を抜くことであって、喉頭筋全体の力を抜いてしまうことではありません。
すなわち、「楽に歌う」というのは、「弱い声」や「小さい声」とは違うのです。
ヒトは全身に630本ほどの筋肉(主に随意筋)を有しています。
ほとんどが、動きや硬さを感知できる筋肉ですが、喉の筋肉だけは動きや硬さを感じ取ることができません。
例えば、あなたは「パ」と「イ」を発するとき、どの筋肉をどのくらいの力加減で使っているか、正確にわかりますか?
続いて、あなたは音階の「ド」と「ラ」を、どの筋肉をどのくらいの力加減で使っているか、正確にわかりますか?
たぶん不可能でしょう。
頭で考え、命令し、発音しますが、喉の動きはわからない。
喉頭は、そんな部位。
したがって、楽に歌う=完全なる脱力を行ってしまうと、発声関与筋のすべてが弛緩し、運動とみなすことができる発声は難しくなります。
ここで『体の運動』として考えてみます。
ジャンプします。
上に高く飛びたい。
それには、ある程度、膝(ひざ)を屈曲し、大腿部や下腿部の筋肉を使えるようにしなければなりません。
膝をピンと伸ばしたまま、ジャンプはできませんよね。(これでは足関節のみの低空ジャンプ)
つまり、力んで膝を硬くしていると高く飛べない。
そこで、膝周りの動きを柔らかくする。
決して、大腿部や下腿部の筋肉を完全に弛緩させるのではありません。
その他で表現するなら、剣術の達人のようなもの。
全身のどこにも力みがなく静かに構えているが、剣を打ち込む瞬間は圧倒的なパワーで俊敏に動く。
これですね。
では、発声のときは、どの筋肉を緩め、どの筋肉に集中していれば良いのか?
まず、緩めておきたいのが、咽頭収縮筋(とくに、中・下・輪状部)、茎突咽頭筋・茎突舌骨筋・顎二腹筋・肩甲舌骨筋でしょうか。
そして、いつでも動けるようにしていて欲しいのが、輪状甲状筋、後輪状披裂筋、外側輪状披裂筋ですね。
前者は、喉頭の運動環境に関係し、後者は、声帯を伸ばしたり(高音)閉じたり(声門閉鎖)運動自体に関係します。
これが正確に叶えば、喉は楽なのに、大きく豊かな声が可能になります。
もちろん、そこには各共鳴腔の使用も必須となりますが…
是非、喉の力を抜くことを、正しく理解し、思い通りのステキな声を作り出してくださいね。


e0146240_9123666.jpg
 




喉と声のスポーツトレーニング&リラクゼーション
 ボイスケアサロン
 會田茂樹|あいだしげき

 
by aida-voice | 2016-04-13 00:04