後筋に感謝しよう!


後筋とは、甲状軟骨の後ろに存在する筋肉の別称(または略称)。
①横披裂筋、②斜披裂筋、③後輪状披裂筋が挙げられます。
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《喉頭模型を後面から見たところ》

横披裂筋と斜披裂筋は声帯ヒダを内転させる、つまり声門(左右の声帯の息が通るすきま)。
後輪状披裂筋は声帯ヒダを外転させる、つまり声門を開きます。
そう、声帯を開いたり閉じたりさせるのが、これらの筋肉たち。
ご存じのように、声帯は自身で勝手に開いたり閉じたりはできません。
その他の別称として前筋=輪状甲状筋や側筋=外側輪状披裂筋を憶えておきましょう。
さて、解剖研究のとき、複数の喉頭の後筋を繰り返し調べてみましたが、それぞれ判別するのが非常に困難でした。
とくに横披裂筋の上でクロスする斜披裂筋の箇所。
斜披裂筋の薄い筋膜を取り除き、筋線維を一本ずつ外していく。
×型のどちらが上でどちらが下になっているかワクワク期待していましたが、筋線維の癒合(?)が激しく上手にできませんでした。
何だか、編み込みのような感じでした・・・
それでもめげずに格闘していたところ、ある瞬間から筋線維の走行が平行になったのです。
「おぉ、ここからが横披裂筋か!」
その後も、少しずつ剥離していくと、横披裂筋になってからは、アッと言う間に輪状軟骨板に到達してしまったのです。
ここで疑問。
骨膜はあるか?
それらしきものは感知できましたが、筋由来の軟部組織のような気がしないでもない。
やっぱりあやふやで、正しく確認できていません。
結果的に、横披裂筋は平面としての広さはあるが筋腹が薄く、斜披裂筋は×型に二本あって筋腹は厚めであることがわかりました。
そこからの推論になりますが、横披裂筋より斜披裂筋の方がやや筋力(声門を閉じるパワー)が勝るかもしれませんね。
筋肉の収縮ベクトルが合理的であること、二本存在すること、筋腹が太いことによります。〔筋力は、筋肉の断面積に比例〕
次に、後輪状披裂筋です。
起始が輪状軟骨の後面下部(ややくぼんだ場所)で、停止が披裂軟骨の筋突起です。
起始部は簡単に触れましたが、停止部は甲状軟骨から輪状軟骨を外さなければ触ることができませんでした。
話はかわり、筋突起周辺の筋肉はプリプリとしていました。
何を意味するのか?
披裂軟骨は、輪状軟骨の披裂関節面に鎮座しています。
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《輪状軟骨の手作り模型:側面上から見たところ:赤楕円部が関節面》

この関節形態は鞍関節。
披裂軟骨は輪状軟骨上をスライドしながら回転するのです。
したがって、動かすために強大な力を必要としています。
そう、後輪状披裂筋は、声帯ヒダを外転させる(声門を開く)唯一の喉頭筋です。
ここにもパワーと運動性の豊かさを感じ取ることができました。
いつも思うことなのですが、声って本当にスゴイですね。

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~メッセージ~
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by aida-voice | 2011-08-22 08:38