甲状軟骨の厚みの重要性 《赤飯さんのケース》


甲状軟骨の構造は、スピーカーと似ているため、高性能の
条件の一つとして、その『厚み』が挙げられます。

スピーカーの場合、一般的に木の箱(エンクロージャー)を使用しています。

このエンクロージャーが薄いと、どうなるのか?

簡単に共振することで、音の質が落ちてしまいます。

甲状軟骨も、声帯を入れるケースのようなものですから
一種のエンクロージャーと言っても過言ではありません。

もちろん、呼吸や嚥下・摂食のためにも
存在していますが、ここでの話は、声に限定します。

では、甲状軟骨が薄いと、声が悪くなるのか?

これまで多数の例を検査してきましたが、日常生活で
困るほど〔声が悪い〕には至らないようです。

逆に、甲状軟骨が厚い(大きさや形状が秀逸である条件を含む)と
良い声と評価されるひとが多いのです。

つまり、『歌や美声にとっては、薄いより厚い方がより良いでしょう』のこと。

やはり、音声の質が高まり、音の深みが増しますね。

今日は、以前、ご紹介しました赤飯さんの厚みをご報告しましょう。

まず、甲状軟骨の厚さをどうやって測るか?

過去に摘出喉頭(解剖は医師)の触診実験で幾度も数値を計測しました。

下に、その写真を描き替えた絵を載せます。
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白人男性(身長180センチ以上と予想される喉頭の大きさ)のものです。

これは、医師が甲状軟骨の正中にハサミを入れてカットし(縦)
わたしがメジャーを用いて厚みを測っているところです。

最も厚い部位で5ミリを記録しました。

このように、摘出し、切って測れば簡単。

しかし、生きている人間では不可能ですよね。

そこで、方法があります。

喉頭周辺に柔軟性があるひとなら、甲状軟骨を
反転させ、甲状軟骨翼後縁をはさんで計測すれば・・・

そこで、優秀な喉頭をお持ちの赤飯さんにご協力をいただきました。

用意するのは、マーキング用の水性ペン・厚みを計測する
キャリパー(ものさしでも可)・至高のテクニック。

方法です。《下の絵は赤飯さん:写真を絵へ変更》
①甲状軟骨をスライド反転させる
②指で甲状軟骨翼の外部面と内部面を触れ、その位置の皮膚上に水性ペンで印をつける
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③二点間をキャリパー(当サロンでは眼科手術用器具を使用)で測る
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注意点があります。

甲状軟骨翼の板面には、さまざまな軟部組織が
付着しているため、触診ではその厚みも入ってしまいます。

それゆえ、誤差が生じます。

実際より、おおむね1~2ミリ数値が大きい。

したがって、外皮からの検査は曖昧である旨をお伝えしなければなりません。

メイヨークリニック喉頭機能外科教室での実験時は、正確な軟骨厚を
知るために、甲状軟骨翼に付着する軟部組織を、しっかりとこそげ落としています。

この点を考慮し、さあ、結果発表です。

赤飯さんの甲状軟骨の厚さは7.5ミリです。(実際には5.5~6.5ミリでしょうね)

これは、とても厚い部類に入ります。

同様な方法でわたしも測ってみましたが、5ミリでした。(実際には3~4ミリ)

やはり、赤飯さんの喉頭は極上ですね。

この先、さらなる素晴らしい音色と音質を披露してくれることでしょう。

本当に楽しみです。





~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2011-07-26 17:43