声の短問短答【続編】380


「甲状軟骨の形状で、甲状軟両翼の角度が鋭角だと低音が広角(鈍角)だと高音が出やすいと聞きましたが、なぜですか?」

お答えします。
甲状軟骨を上から見るとおおむね三角形に見えます。
より正確には五角形に近いのですが。
さっそく、下の絵を見てください。
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頂点を上にする三角形に、aとa'、bとb'、cとc'、dとd'を標します。
abcdは鋭角傾向の甲状軟骨を、a'b'c'd'は広角の甲状軟骨となります。
aおよびa'は体の前方である喉頭隆起、bdcおよびb'd'c'の線が後方です。
bおよびb'は体の左側、cおよびc'が体の右側になりますね。
さあ、それでは声帯はどこにあるでしょう?
答えは、adおよびa'd'の線分となります。
つまり、三角形の頂点から底辺に向かって存在しています。
これは、高さとしてあらわすことができますよね。
二つの三角形を比較すると、adは長く、a'd'は短い。
つまり左は声帯が長く、右は短いことになります。
声帯が長くなると低音になり、短くなると高音になります。
これはピッチの根源です。
弦で考えてください。
弦が長いと低い音に、短いと高い音になることは自明の理でしょう。
ただし、声帯の場合、線のように思われがちですが、実際は声帯の面積と厚みも考慮しなければなりません。
意外に複雑なのです・・・
質問の通り、おおむね甲状軟両翼の角度が鋭角だと低音が広角(鈍角)だと高音が出やすいのは間違いありません。
男性の甲状軟骨は大きく鋭角、女性の甲状軟骨は小さく広角。
したがって、上図の左が男性っぽく、右が女性らしさある形状ですね。
しかし、これも個性があり、ひとそれぞれ。
あなたは、どのような甲状軟骨をお持ちですか?
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追伸:当サロンで検査した結果の傾向
こちらには歌手・アナウンサー・声優・俳優など、声を使う仕事に携わるため、甲状軟骨の形が優れた方々が多いと感じます。甲状軟骨は声帯を入れるケース。その形状が優れていると音の質が良い可能性が高くなります。甲状軟骨の大きさも大切(甲状軟骨の大きさと舌骨の大きさには類似性があるので舌骨後方の咽頭共鳴腔の空間も大きなものとなります)。しかし、大きくなると甲状軟骨板が厚くなるため質量が増えます。また両翼の範囲が大きくなり動くのりしろが減ってしまいます。これらから、扱いも難しくなることが多々あります。したがって、甲状軟骨の大きなひとは、調子が良いときは驚くほど素晴らしいのですが、突然、不調に陥る。ナミが大きいのも特徴ですね。また、この時期、甲状軟骨が小さくて困ってくる方も少なからずいらっしゃいます。中高生のとき、コロラトゥーラを軽々歌っていました。その後、音大に入ってから重い音質の課題曲が与えられたがうまく歌えない…。詳しく調べてみると、頚椎椎体の横幅よりも甲状軟骨b'c'が短い。喉頭の機動能力は抜群ですが、深い音色は難しい。そう、ウクレレでギター協奏曲を演ずるようなもの。この場合、楽器としての喉の大きさや形状を変化させることはできません。しかし、前述の機動力アップと軟部組織から成る各共鳴腔を駆使して乗り越えた方が大勢います。Go for it!

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~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。





by aida-voice | 2016-02-04 05:12