書籍「喉体操」12


6 横隔膜プッシュブレス運動

発声はおおまかに、呼吸、声帯、声道(共鳴腔)の三つの構成で成り立っています。
ここでは、横隔膜と肋間筋の重要性について述べます。
肺は、胸郭(肋骨と言っても可)の内部に、ぶら下がっています。
胸郭と肺の間(すきま)と、肺内部の気圧に差ができて、呼吸が生まれます。
そして、胸郭の最下部に存在するのが横隔膜です。
よく耳にする横隔膜は、随意にも不随意にも動く、特殊な筋肉束および膜様組織です。
つまり、意識して動かすこともできます(深呼吸など)が、無意識でも勝手に動いて呼吸しています。
呼吸に重要な役割をはたします。
実は、見のがされている大切な筋肉があります。
それは、胸郭の筋肉です。
胸郭の筋肉には、内肋間筋、外肋間筋、肋下筋、胸横筋、肋骨挙筋、上後鋸筋、下後鋸筋があります。
これらの筋肉が十二分に活動しなければ、胸郭は広がったり、せばまったり、スムーズにできません。
そう、胸郭が自由に動かなければ、コントロールされた呼吸、すなわち、良い声は遠のいてしまいます。
それでは、横隔膜および胸郭の筋肉の性能をアップさせる運動です。
喉まわりやお腹まわりのゆったりした服装にします。
ネクタイとベルトははずしましょう。
シャツのトップボタンもはずし、可能ならズボンやスカートのホックもはずします。(なお、ベストは、上半身裸で直接皮膚にふれながらおこなうと、手指に横隔膜の精密な動きを読み取れます)
床やたたみの上に、仰臥位(あおむけ)で横たわります。
首すじにタオル枕をあてがって、頚椎のアーチを保ちます。
視線は真上にします。(あごを引いたり上げたりしないこと)
いちばん下の肋骨に、母指がふれるよう、両てのひらを腹部にのせます。
息をゆっくり吐きます。
その吐くとき、タイミングを合わせながら、てのひらで抵抗するようにグッとプッシュします。
お腹が上がらないよう、しっかり押さえこむのです。
吐き終わったら、手の力をぬいて、すぐに勢いよく息を吸ってください。
つまり「ハー(呼気)、スッ(吸気)」「ハー、スッ」「ハー、スッ」のように。
最初は、ゆったり、できるだけ大きな呼吸を心がけます。
呼吸の振幅、大きさ、回数、休憩、速度変化、時間などは自由です。
次に、腰をねじり、上半身はあおむけ、下半身は横向きの状態で、横腹を押さえて同じようにおこなってください。
足を組みかえ、反対も実行しましょう。
全体で、三分が理想です。
スピードを上げたときは、過呼吸や過換気に注意してください。
息を吐くだけでなく、必ず、同じ量の息を吸うことを忘れずに。
押さえすぎにも注意です。
肋骨骨折、肋骨不全骨折、肋軟骨損傷(離解)に気をつけてください。
なお、自覚的呼吸のかわりに、笑い声でもかまいません。
笑うと同時に、グッとお腹を押さえこみます。
「アハハハ(笑)、スッ(吸気)」の要領ですね。
楽しく、爆笑しましょう。
腹筋も鍛えられ、笑いによる精神安定効果で、免疫力もアップするかもしれませんよ。
さて、最重要ポイントです。
全身あおむけで、プッシュを加えるとき、てのひらを押し返すように横隔膜を意識しながら真上(寝ている状態で天井方向)に動かすよう努力してください。
横隔膜の動きを冷静に感じ取ってください。
タイミングを合わせるのは大変だと思います。
しかし、これが完璧になれば、立位で通常発声のとき、とくに歌唱の場合、横隔膜を低位に下げた状態に保ちながら、前方(水平方向)へ広がるように、思いどおりコントロールされた息を出せます。
そう、これが横隔膜の支えです。





~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2011-03-27 05:13