書籍「喉体操」4


第3章 声の本当の仕組み

大事なのは、『発声は運動の一種である』という点です
声は、声帯をふくめ、すべて筋肉から生成されます。
声帯は、甲状軟骨内部にある二枚のひだです。
おおざっぱに筋肉組織と粘膜組織からなります。
ご存知の方も多いと思いますが、それが振動して音源が生まれます。
そう、弦楽器(バイオリンやギターなど)の弦に例えることができます。
声帯の主要な動きは、開閉と伸縮です。
二枚の声帯が開くと、呼吸ができます。
閉じて発声が可能になります。
声帯を伸ばすと高音発声になります。
声帯を伸ばすことで、その長さが増し、厚みが減るため、ピッチが高くなります。
輪ゴムを引き伸ばして弾くと、高い音が出ますよね。
また、「張った声」にも関与します。
次に、声帯を縮めれば低音となります。
これは、声帯が短く厚くなり、質量も増える結果です。
おおまかに上記のような動きを示します。(厳密には、もっと複雑な要因がからみ合って声を生成しています)
そして、大切なポイントがあります。
一般的に、声帯は自身で動いているように思われがちですが、真相は異なります。
声帯は、多少の縮む運動はするものの、ほとんど周囲の筋肉によって動かされているのです。
さらに、声帯を振動させる、つまり音を作るのは、呼気です。
そう、唯一の道具が『息』なのです。
それゆえ、呼吸が重視されているのです。
復唱となりますが、喉の中にステレオやスピーカーは入っていません。
すべて筋肉による運動です。
呼吸も、胸郭と横隔膜を使っての運動です。
さて、随所で筋肉の運動と述べましたが、実は、もうひとつ大きな要素があるのです。
それは声の質です。
音を作ることと高低を決めるのに、声帯が担っているのは前述のとおりです。
次は、音を加工しなければ、良い声になりません。
響き、つや、音色、豊かさ、きめ細かい、輝きなどの形容がありますね。
この部分のお話です。
楽器で考えてみましょう。
ピアノです。
ピアノには形によって、大きくフレームの張り出したグランドピアノと、縦方向に弦を張って小型にしたアップライトピアノの、二種類あります。
もちろん、弦張の縦横、響板の形と大きさ、ハンマーの運動性によって違ってくるのでしょうが、音の質として最も影響しているのが、フレーム内部の体積です。
聴き比べれば、アップライトピアノよりグランドピアノのほうが、倍音が豊かであることは容易に判断できます。
手短に言うと、音が良いのです。
その倍音は、主として共鳴空間によって構築されます。
音を共鳴させる空間の、存在、大きさ、形状が重要なのです。
他の楽器でも同じです。
アコースティックギターとウクレレでは、弦をつま弾く楽器としての構造は類似していますが、大きさも音も異なります。
ボディの体積で音量や音色が変わってきます。
アコースティックギターは、ウクレレより一段と深みのある音が出ます。
良し悪しの問題ではなく、個性なのです。
心躍るハワイアンミュージックに、ウクレレは欠かせませんよね。
賢明なあなたなら、もうおわかりでしょう。
声も同じです。
声帯で作られた原音を、いかに共鳴させて良い音にしていくか。
それをおこなう共鳴空間が、人間には数か所あります。
喉頭室、梨状陥凹、咽頭腔、口腔、鼻腔などが挙げられます。
中でも、喉頭室と梨状陥凹は、甲状軟骨の内部に存在します。
そのため、生まれつきの甲状軟骨の形状で、ある程度、体積が決まってしまいます。
したがって、甲状軟骨が大きいひとほど豊かな声になる可能性は高くなります。
ならば、甲状軟骨が大きいひとだけが声が良いのでしょうか。
いいえ、違います。
安心してください。
その他の共鳴腔も複雑にからんで音声は作られます。
実は、音色に最も関与するのは、咽頭周辺の共鳴腔ではないかと考えています。
外見では、甲状軟骨と舌骨のやや上の場所です。
過去と現在の偉大な歌手、何種類もの声を使いわけるものまね芸人、すばらしい声と評価を受けている声優の、外皮から観察した咽頭の動きを研究してきました。
その結果、もれなく咽頭周辺の筋肉が、一般のひとより動きが活発だったのです。
大きくふくらんだり、引っ込んだり、上がったり、下がったり、驚くほど大胆かつ繊細に動いています。
咽頭周辺の共鳴腔をうまく使いこなせば、良い声になる近道と気づいたのです。




~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2011-02-26 04:29