発声練習をし過ぎると声は悪くなる!?


声を出すことは運動です。
そう、声帯も筋肉と粘膜から成りたち、その声帯をコントロールするのも甲状軟骨周辺の筋肉たち。
したがって、正しく使わなければ、疲労はもちろん、痛めてしまったりバランスを崩してしまったりしかねません。
本当にスポーツと同じなのです。
どんなことが良くないの?
“過”と付くことが良くありません。
長時間歌い過ぎる、無理に高い音を出し過ぎる、大きな声で練習をし過ぎる・・・
つまり筋肉疲労を起こすことにほかなりません。
何が起きてくるのか。
まず、声帯が浮腫(むく)みます。
充血すると言っても良いでしょう。
これによって、声帯筋の質量が増すため、振動率の低下と低音化が促進されます。
また、浮腫みの声帯変化によって声門(二枚の声帯の間)が開いてしまい、息漏れ現象を呈します。
続いて、声帯筋の乳酸代謝が悪くなり、運動性能が落ちます。
つまり、声が低くなり、かすれ声やガラガラ声になってくるのです。
ピッチのコントロール性も失います。
これでは、歌っていても楽しくありません。
さらに、この状態で声を出し続けると、音声疾患、ここでは主にポリープ様声帯になりやすくなります。(過緊張性発声や喉詰め発声の癖があるひとは、声帯結節にもなりやすくなるでしょうね)
発声練習の最適な時間は?
個人差がありますが、正味(実質に発声や歌唱している時間の合計)45分程度と考えています。
これはサッカーの試合ぐらいですね。
そして、再び発声練習したい場合は、15分以上休憩してください。
ここでの休憩とは、①声を出さないこと(声帯の振動を停止させる)、②ゆったりとした呼吸を心がけること(呼吸関連筋を休める)を実践しましょう。
呼吸時にも声帯は開閉運動を行っています。
荒く激しい呼吸は、むやみに喉頭周辺筋を使うことになります。
また呼気と共に声帯の乾燥傾向が強くなり、その後の発声時の声帯粘膜運動効率を低下させます。
では、休憩のときに何かすることはありませんか?
通常は上記の①と②を行ってください。
次に、積極的な休憩方法です。
1:横たわってください。
仰向けは甲状軟骨の自重によって沈潜しやすいので横向きやうつ伏せが理想です。
2:目を閉じましょう。
3:肩周り(とくに僧帽筋)を温め、血行を良くしましょう。
4:水分補給を心がけてください。(発声時もこまめに!)
これらの休息を取れば、再度、発声練習をしても良いと考えます。
何よりも、自分の喉状態を正しく把握してください。
「昨日、一人カラオケで6時間も歌い続けちゃったよ」と自慢げに語るひともおりますが、喉の運動の観点からすると如何なものかと思います。
もちろん、正しい休息を取り入れ、喉と声の衛生に配慮していれば問題はありませんが。
よって、『発声練習をし過ぎると声は悪くなる!?』は、やり方次第と言うことになるでしょう。
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ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)



追記:過去に某ボイストレーナーが『血を吐くまで練習を積み重ねなければ歌はうまくならない』とおっしゃっていましたが、スポ根まがいの過度な練習は避けた方が無難です。声帯近辺や内喉頭からの出血は危険です。繰り返しの出血は、軟部組織が瘢痕化して慢性的な痛みや発声阻害の因子となります。ご注意ください。
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~メッセージ~
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by aida-voice | 2011-02-10 10:22