輪状甲状関節亜脱臼


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輪状甲状関節の亜脱臼は存在する

その亜脱臼により、輪状甲状関節が正常に機能しなくなる事実を把握

ズレの大きさは1~数mm程度で、気づかず存在している可能性もある


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これまで「高い声が出ない」「高音が出しづらい」「高音が金属音的になる」などは、ボイストレーナーからはテクニックの未習得、耳鼻咽喉科医師からは前筋麻痺(輪状甲状筋の動きが緩慢な状態を指す)と言明されてきたが、輪状甲状関節の亜脱臼の有無を含めた動き具合を調べることも大切

★検査方法
X-P〔レントゲン〕では判別できない(軟骨組織であることと矢状面から左右下角の差異を測れない)
①丁寧かつ繊細な触診で甲状軟骨下角下端周辺を探り当て、地声と裏声の連続交互発声で、動きの違い(ピッチに対し運動緩慢がないか)と片側変移を感知する
②無声時の状態で甲状軟骨下角を皮膚に投影して描き、左右の写真を撮り、一方を反転して重ね合わせ差異を計測する

★亜脱臼の種類
輪状軟骨関節面の特異形状から、前方亜脱臼・後方亜脱臼・上方亜脱臼・下方亜脱臼が存在する
さらに浮遊亜脱臼を確認!
これは甲状軟骨下角の突出角度の左右差がある場合に起こると考えられる

★症状
①声の特徴:高音が出ない、高音が出にくい、声帯ヒダの伸長が叶わないので声帯筋を過緊張させた金属音的高音発声となる、かすれるほどではないが声が張れない
②その他の特徴:会話も歌唱も可能、目視では確認できない、痛みはまったくない、自覚症状がない、日常生活に支障はない、放置しても問題ない

★原因
軽微な外力による受傷・不明も多い・過度の高音発声・生得的構造によるもの

★整復方法
①新鮮例では、地声と裏声の交互発声で自己整復されることもある
②徒手整復:一方の母指と示指で両下角をホールドし、もう一方の母指・示指・中指を輪状軟骨の両側面と前面の三点に配置して、亜脱臼反対側に圧をかけながら亜脱臼部位を正常位置へ戻す
③陳旧例では、再び亜脱臼状態に戻ることが多く、複数回の整復操作を必要とする

★特記事項
無痛ゆえ、関節包および周辺軟部組織の損傷はない(少ない)ものと予想される
機序や程度により関節包弛緩の可能性は否定できない

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摘出喉頭(解剖は医師)による触知研究《メイヨークリニック喉頭機能外科教室》
赤丸部が亜脱臼部位
ご献体者に心より感謝しご冥福をお祈りします





追記:輪状甲状関節に関節包はあるの? Dissection でもまちまちでしたが、軟骨膜との連続性を有した膜様組織をチェックしています。さらに滑膜(関節包の内側に存在)と思われる極小の tissue を何度か発見しました。ただし関節液の貯留は確認できていません。
by aida-voice | 2016-02-26 00:09