歌であがらないために・・・


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「歌うとき、あがってしまいます。どうしたら、あがらなくなりますか?」「歌うと緊張して、声が上ずったりひっくり返ったりします。なおす方法はありませんか?」「人前では、あがってしまって言葉が出にくくなる。改善したのですが・・・」「緊張すると、滑舌が悪くなっちゃう」との相談をいただきます。
このような皆さんの喉状態を調べたことがあります。
まず、悩みを持つひとにご協力いただき、人工的にドキドキ緊張する環境を作って、歌ったり声を出したりしてもらいます。
具体的には、前ぶれなく数人で取り囲んで、楽譜や本を渡して「はい、今から歌ってください」または「はい、この本を朗読してください」と命じます。
その際、周囲では期待感あふれる様子を見せつけます。
「よっ、待ってました!」「上手にやってね!」「期待してるよ!」とかけ声をかけ、拍手をしたりビデオカメラを向けたりして、より緊張させます。
そのときの、喉を撮影し、喉頭を触診します。
次に、ひと休みした後、今度は静かな防音室に被験者と二人きりで入り、ゆったりリラックスした環境で、先ほどと同じ実験を行います。
はやしたてたりしません。
発声時の喉頭を丁寧に触れて調べました。
結果です。
あがったり緊張したりしているときの喉頭は非常に硬く、深い位置にありました。
運動能力も低下し、まるで甲状軟骨が羽交い締め(背後からホールドして相手を動けないようにすること)にあっているようです。
逆に、リラックスした状態のときは、喉頭がそれほど硬くありませんでした。
また、もともと喉頭がやわらかいひとにお願いして実験したところ、緊張させても、大幅に硬くなることはありませんでした。
そして、注目すべき点は、このようなひとは「歌であがる」とか「大勢の前で緊張して言葉がでにくい」ことが一切なかったのです!
これらから仮説を立てると・・・
喉頭がやわらかいひと ⇒ あがりにくい、緊張に強い、環境で声の劣化が少ない
喉頭が硬いひと ⇒ あがりやすい、緊張に弱い、環境で声が大きく変わる
となるでしょうか。
喉頭がやわらかいと、声や歌が上手になるだけでなく、あがり(平常心を失う)や緊張(心が張りつめる)にも関係していたのですね。
是非、喉の柔軟性を獲得してください。
きっと、念願の大舞台や重要なオーディションでも、緊張しすぎてうまくいかないこともなくなるでしょう。
そう、どんなベテランでも緊張はあります。
適度な緊張は、そのひとの能力やポテンシャルを高めます。
どうか、良い緊張感を楽しめるようになってください。
ところで、『喉頭がやわらかい』と言うのは、筋肉がクタクタになって軟弱になることではなく、柔軟性があって、いつでも動ける俊敏性を兼ね備えたやわらかさですよ。
お間違いなく。
by aida-voice | 2016-02-13 01:34