歌であがらないために・・・【過去記事再掲載】





歌であがらないために・・・【過去記事再掲載】_e0146240_1331884.jpg




「歌うとき、あがってしまいます。どうしたら、あがらなくなりますか?」「歌うと緊張して、声が上ずったりひっくり返ったりします。なおす方法はありませんか?」「人前では、あがってしまって言葉が出にくくなる。改善したのですが・・・」「緊張すると、滑舌が悪くなっちゃう」との相談をいただきます。
このような皆さんの喉状態を調べたことがあります。
まず、悩みを持つひとにご協力いただき、人工的にドキドキ緊張する環境を作って、歌ったり声を出したりしてもらいます。
具体的には、前ぶれなく数人で取り囲んで、楽譜や本を渡して「はい、今から歌ってください」または「はい、この本を朗読してください」と命じます。
その際、周囲では期待感あふれる様子を見せつけます。
「よっ、待ってました!」「上手にやってね!」「期待してるよ!」とかけ声をかけ、拍手をしたりビデオカメラを向けたりして、より緊張させます。
そのときの、喉を撮影し、喉頭を触診します。
次に、ひと休みした後、今度は静かな防音室に被験者と二人きりで入り、ゆったりリラックスした環境で、先ほどと同じ実験を行います。
はやしたてたりしません。
発声時の喉頭を丁寧に触れて調べました。
結果です。
あがったり緊張したりしているときの喉頭は非常に硬く、深い位置にありました。
運動能力も低下し、まるで甲状軟骨が羽交い締め(背後からホールドして相手を動けないようにすること)にあっているようです。
逆に、リラックスした状態のときは、喉頭がそれほど硬くありませんでした。
また、もともと喉頭がやわらかいひとにお願いして実験したところ、緊張させても、大幅に硬くなることはありませんでした。
そして、注目すべき点は、このようなひとは「歌であがる」とか「大勢の前で緊張して言葉がでにくい」ことが一切なかったのです!
これらから仮説を立てると・・・
喉頭がやわらかいひと ⇒ あがりにくい、緊張に強い、環境で声の劣化が少ない
喉頭が硬いひと ⇒ あがりやすい、緊張に弱い、環境で声が大きく変わる
となるでしょうか。
喉頭がやわらかいと、声や歌が上手になるだけでなく、あがり(平常心を失う)や緊張(心が張りつめる)にも関係していたのですね。
是非、喉の柔軟性を獲得してください。
きっと、念願の大舞台や重要なオーディションでも、緊張しすぎてうまくいかないこともなくなるでしょう。
そう、どんなベテランでも緊張はあります。
適度な緊張は、そのひとの能力やポテンシャルを高めます。
どうか、良い緊張感を楽しめるようになってください。
ところで、『喉頭がやわらかい』と言うのは、筋肉がクタクタになって軟弱になることではなく、柔軟性があって、いつでも動ける俊敏性を兼ね備えたやわらかさですよ。
お間違いなく。






~重要なお知らせ~ ●外喉頭から考究する発声の理論と技術は日々進化しています。この記事は掲載時の情報であり、閲覧時点において最新・正確・最良でない可能性があります。すべての記事の内容に関し、一切の責務を負いません。●記事の内容は万人に適合するものではないため、当サロンの施術に関し、記事の内容通りの効果や結果は保証も確約もしておりません。〔当サロンでは役立てないと判断された場合、理由を問わず施術をお断りします〕●声や喉の不調は、最初に専門医の診察を受けてください。歌唱のトラブルは、最初にボイストレーナー(音楽教師)にご相談ください。





by aida-voice | 2016-02-13 01:34