Small Voice View 1


ときどき、ごくありふれた声のトピックや、喉の四方山話(よもやまばなし)を掲載します。
できるだけ平易な言葉かつ短い文章で書きます。
また、わたしの思い、イメージ、検証されていない経験則などの話題も増えるでしょう。
したがって、ボイスアドバイザーや喉頭科学に詳しいひとは飛ばしても構いません。
名づけて「Small Voice View」(スモール ボイス ビュー)。
Viewは、景色・眺め、見解・考え方の意味です。
この記事によって、ちっちゃな発見があることをお祈りします。



第1回目は甲状軟骨の話題です。
とても簡単なお話。
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甲状軟骨(こうじょうなんこつ)は首の前面部にある塊(かたまり)です。
やさしく触れてみてください。
硬い物体がありますよね。
どんな形をしていますか?
三角のような、ピラミッドのような・・・
実は、甲状軟骨の『甲』はカメの甲羅(こうら)が由来ではないかと言われています。
つまり甲羅に似た形の軟骨。
軟骨は、骨ではありません。
読んで字のごとく、やわらかい骨。
これは、軟部組織(なんぶそしき)に分類され、筋肉や靭帯と同じ種類とされています。
幼少期のときは非常にやわらかく、押さえるとペコペコへこみます。
年をとるにしたがって硬くなり、骨化するケースもあります。
この甲状軟骨の中央先端の飛び出した部分を喉頭隆起(こうとうりゅうき)と呼びます。
俗に言う「のどぼとけ」です。(最近は、甲状軟骨全体を指してのどぼとけと表記する場合もあるようです)
大きさはひとそれぞれ。
形もひとそれぞれ。
一般的な特徴としては、男性は喉頭隆起がとがって大きく、女性は平らで小さい。
しかし、簡単に決めつけられないことがわかってきました。
延べ10000人以上の甲状軟骨に、実際に触れてきた、わたしの経験結果からです。
さらに、この甲状軟骨の大きさや形状で、声の質が変わることも判明したのです。
まるで楽器のようです。
楽器(弦楽器、管楽器、ピアノなど)は、大きさや形状で音が変化しますよね。
これと同じ。
思春期が終わり成長が止まると、甲状軟骨の形状は一生変わりません。
では、決められた音しか出ないの?
そうではありません。
まず、甲状軟骨は、実は、どこにも固定されておらず、ブラブラ空中に浮いた状態。
茎突咽頭筋(けいとついんとうきん)と茎突舌骨筋(けいとつぜっこつきん)の各筋でつり下げられています。《厳密には茎突舌骨筋に並走する茎突舌骨靭帯もあります》
さらに、ヒトの喉(のど)の周囲は、筋肉などの軟部組織で作られていますから、大きさを変える自由が存在します。
ただし、簡単にできるかどうかは、各人により異なります。
よって、甲状軟骨だけでなく、喉筋の流動的な大きさや形状も加味され、声音が決まってきます。
ホッとしましたね。
ところで、何のために甲状軟骨は存在しているのか?
二つ考えられています。
一つは、喉全体を保護している。
そう、これこそカメの甲羅のように、鎧(よろい)のように、喉を守っているのです。
もう一つは、声帯(せいたい)を入れるケースです。
外からおおよそ正確な声帯の位置を知ることができます。
詳しくはJOY君の記事をご覧ください。 ⇒ ボイストーク With JOY Part6
声にとって甲状軟骨はとても大切なパーツ。
正しく知って、しっかり使ってくださいね。
そうすれば、あなたもステキな声になりますよ。



ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)




追記
甲状軟骨の後ろには何があると思いますか?
答えは「食道(しょくどう)」。
食事をする食堂ではありませんよ《笑》
では、その食道の後ろには何があると思いますか?
答えは「頚椎(けいつい)」。
ご存じ首の骨です。
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~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2010-07-12 18:43