2010年 07月 12日
Small Voice View 1
ときどき、ごくありふれた声のトピックや、喉の四方山話(よもやまばなし)を掲載します。
できるだけ平易な言葉かつ短い文章で書きます。
また、わたしの思い、イメージ、検証されていない経験則などの話題も増えるでしょう。
したがって、ボイスアドバイザーや喉頭科学に詳しいひとは飛ばしても構いません。
名づけて「Small Voice View」(スモール ボイス ビュー)。
Viewは、景色・眺め、見解・考え方の意味です。
この記事によって、ちっちゃな発見があることをお祈りします。
第1回目は甲状軟骨の話題です。
とても簡単なお話。
やさしく触れてみてください。
硬い物体がありますよね。
どんな形をしていますか?
三角のような、ピラミッドのような・・・
実は、甲状軟骨の『甲』はカメの甲羅(こうら)が由来ではないかと言われています。
つまり甲羅に似た形の軟骨。
軟骨は、骨ではありません。
読んで字のごとく、やわらかい骨。
これは、軟部組織(なんぶそしき)に分類され、筋肉や靭帯と同じ種類とされています。
幼少期のときは非常にやわらかく、押さえるとペコペコへこみます。
年をとるにしたがって硬くなり、骨化するケースもあります。
この甲状軟骨の中央先端の飛び出した部分を喉頭隆起(こうとうりゅうき)と呼びます。
俗に言う「のどぼとけ」です。(最近は、甲状軟骨全体を指してのどぼとけと表記する場合もあるようです)
大きさはひとそれぞれ。
形もひとそれぞれ。
一般的な特徴としては、男性は喉頭隆起がとがって大きく、女性は平らで小さい。
しかし、簡単に決めつけられないことがわかってきました。
延べ10000人以上の甲状軟骨に、実際に触れてきた、わたしの経験結果からです。
さらに、この甲状軟骨の大きさや形状で、声の質が変わることも判明したのです。
まるで楽器のようです。
楽器(弦楽器、管楽器、ピアノなど)は、大きさや形状で音が変化しますよね。
これと同じ。
思春期が終わり成長が止まると、甲状軟骨の形状は一生変わりません。
では、決められた音しか出ないの?
そうではありません。
まず、甲状軟骨は、実は、どこにも固定されておらず、ブラブラ空中に浮いた状態。
茎突咽頭筋(けいとついんとうきん)と茎突舌骨筋(けいとつぜっこつきん)の各筋でつり下げられています。《厳密には茎突舌骨筋に並走する茎突舌骨靭帯もあります》
さらに、ヒトの喉(のど)の周囲は、筋肉などの軟部組織で作られていますから、大きさを変える自由が存在します。
ただし、簡単にできるかどうかは、各人により異なります。
よって、甲状軟骨だけでなく、喉筋の流動的な大きさや形状も加味され、声音が決まってきます。
ホッとしましたね。
ところで、何のために甲状軟骨は存在しているのか?
二つ考えられています。
一つは、喉全体を保護している。
そう、これこそカメの甲羅のように、鎧(よろい)のように、喉を守っているのです。
もう一つは、声帯(せいたい)を入れるケースです。
外からおおよそ正確な声帯の位置を知ることができます。
詳しくはJOY君の記事をご覧ください。 ⇒ ボイストーク With JOY Part6
声にとって甲状軟骨はとても大切なパーツ。
正しく知って、しっかり使ってくださいね。
そうすれば、あなたもステキな声になりますよ。
ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)
追記
甲状軟骨の後ろには何があると思いますか?
答えは「食道(しょくどう)」。
食事をする食堂ではありませんよ《笑》
では、その食道の後ろには何があると思いますか?
答えは「頚椎(けいつい)」。
ご存じ首の骨です。
~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice
| 2010-07-12 18:43