歌唱力を高める


歌がうまいひとは、歌がへたなひとの “正確な理由” を理解していません。
そう、自分は何もしなくても自在に声が出てしまうからです。
足腰の悪くない健常な人に階段を下りてもらいます。
そして「どうやって階段を下りてきましたか?」と問うと「どうやってって・・・、ただ普通に下りてきただけだよ・・・」と答えに戸惑ってしまいます。
ところが膝の動きの悪い(ケガをして膝が痛いのでなく、膝の関節が曲がらないだけの状態)ひとが階段を降りる際は、きっと四苦八苦しながら慎重に下りることでしょう。
これと同じです。
自分と他者のどこが違うかどころか、自分のどこが優れていて良い声になっているのか知りません。
あなたは、音階ドレミの、ド音とミ音の違いを、筋肉運動レベルで説明できますか?
どこの筋肉を、どのくらいの力で使っているかを、知っていますか?
そう、手足の見える部位や、動き方を知っている筋肉では、ある程度簡単なことです。
でも、喉の筋肉は見えないし、動かし方もわかりません。
知らなくても声は出ます。
声がよいひとや歌がうまいひとと、そうでないひとの違いは?
わかってきました。
それは喉頭の運動能力保有の有無。
俗に言う運動神経にも近い言葉でしょうか。
この能力に優れたひとは、歌がうまいのです。
そう、単純にこれだけ。
では、後天的に性能アップはできないのか?
可能です。
声は、声帯を含め、すべて筋肉から作られます。
そこには、筋肉の持つ特性が大きく立ちはだかってきます。
筋肉は独特メカニズムを有しています。
動く範囲、硬度、関節との融合性、筋腱移行部の位置など種々に及びます。
これらを考慮しながら運動能力を高めるのです。
キーワードは柔軟性と筋力でしょうか。
「やわらかい筋肉」と言い切ってしまうと、この言葉は医学的でないため語弊があります。
実際には、筋線維内のエネルギー(ATP)効率と伸縮の関係を示して「かたい」「やわらかい」と言われるのでしょうね。
さて、歌唱から大幅に外れていきました。
元に戻しましょう。
実際、歌唱の中心はアート(芸術)であることは、疑う余地もありません。
「歌は芸術だ」まさしく至言です。
そのアートを創出する道具が喉頭のフィジカルです。
絵で例えるなら、キャンバスや絵の具にあたります。
この道具なしでは絵画は成り立ちません。
どんなに芸術性に長けた画家でも、念じるだけで絵が完成するとは思えません。
そして、そのキャンバスや絵の具が使いやすい方がベターですよね。
歌唱に対する当サロンの独自アプローチは、ここを目指しているのです。
よって、歌唱力を高めるには、最初に喉頭の運動性能を上げること。
たった、これだけのことです・・・
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ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)





~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2010-05-27 09:24