シリーズ『なぜ?』 ①声帯結節はなぜ繰り返すの?


声帯結節は、声帯の前1/3の部分《好発部位》が、繰り返しぶつかり合って、胼胝(たこ)のように組織が硬くなってしまい、痛みや嗄声(かすれ声)の症状をあらわす疾患です。【下絵の緑丸部分が声帯結節】
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耳鼻咽喉科での処置は、①声を使わない(安静)、②ステロイド処方、③手術、が挙げられます。
このどれかで良くなるでしょう。
しかし、実は、再発しやすいのも大きな特徴です。
当サロンには、8回も再発し、そのうち2回は手術した著名な声優さんが来たこともあります。
何度も何度も発症するため、根本改善を求めての受術でした。
かなり時間がかかりましたが、快癒し、ご本人も大喜びでした。
では、なぜ再発して繰り返すのでしょう?
主となる原因がわかってきました。
まず、同じよな条件で声を使っても、声帯結節になるひとと、ならないひとがいます。
なぜでしょう。
声帯結節、あるいは過去にかかったことのあるひとの喉頭を調べたところ、すべて筋硬度20Tone以上の硬さがありました。(正常喉頭周辺筋との比較によるもの)
そう、声帯結節になるひとのほとんどは喉頭の筋肉が硬いのです。
そして、喉頭の筋肉が柔らかく動きの良いひとは、声帯結節とは無縁のようです。
喉頭周辺が硬くなると、発声するときに力が入りすぎてしまいます。
無意識かもしれませんが、声を出すのに必死なのです。
喉頭が硬くなると、深奥Positionを構成し、クリック音が発生します。
ひどい場合は披裂軟骨の小角軟骨が下咽頭収縮筋に触れて圧がかかり、披裂軟骨を回旋助長によって、声門がほんの少し開く傾向がでてきます。
これによって『かすれ』声が生じます。
『かすれ』を直そうと、さらに力をこめて声帯を閉じます。
まさに悪循環ですね。
したがって、声帯結節を繰り返すひとは、喉頭の柔軟性が欠如していると断言しても過言ではありません。
これは過緊張発声と同義となります。
障害や病気とまではいかなくても、喉の緊張を高めすぎて発声することを示します。

声帯結節を繰り返さないために・・・
①喉頭周辺の筋肉を軟らかく保ちましょう
②上喉頭動脈の血流を増やしましょう
③首や肩の体操などで、肩こりや不良姿勢を治しましょう
④首まわりを冷やさないようにしましょう
⑤声が疲労したら、すばやく回復させましょう

さあ、声帯結節と本気でおさらばしましょう!




ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)




追記:耳鼻咽喉科で診てもらうと、安静(声を使わない)を指示されます。しかし、プロの声遣いでなくとも、しゃべらないで生活を送れるひとなんてそうそういませんよね。だからこそ、体質改善的な根本解決が必要になるのです。声帯結節を繰り返さないよう、罹患してから可能な限り素早い受術をお薦めします。なお、当サロンは医療機関ではないため、声帯結節の診断は行っていません。まずは、優秀な耳鼻咽喉科医に診てもらいましょう。




~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2010-05-14 01:36