声を出すと首の筋肉がもりあがる!?


思い通りの発声ができないため、当サロンにお越しになった方です。
視診の段階ですぐに状態が発覚しました。
声を出しながら、鏡で確認していただくと、驚いていらっしゃいました。
そう、ご本人は知らなかったのです。

状況
発声時に、右の肩甲舌骨筋だけが強度の筋硬直を起こし、胸鎖乳突筋も押し上げている。
病気ではなく、筋肉の癖様特徴の一つであり、通常の会話声には大きく影響していない。
しかし、繊細な歌のコントロールには不向きであるため、早々の改善が望ましい・・・
なお、症状が強い場合、ジストニア(神経障害)の可能性もあるため、詳しくは専門医に尋ねること。

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無声時


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発声時



次に動画で確認してください。




改善方法
まず、甲状軟骨は周辺筋の強縮によって埋没傾向にあるため、のど全体を弛緩させます。(喉頭クリニカルマッサージ)
次に、右肩甲舌骨筋のストレッチングを行います。
これは、起始停止を考え、最大伸長を目指さなければ、まったく意味がなくなるので注意してくださいね。
さらに、Tension80%の状態で、筋線維に沿ったマイクロマッサージを行います。
これで、肩甲舌骨筋の浮き上がりが減少します。
ただし、この患者さまの筋状態は、かなり頑固ゆえ、即時改善は難しく、複数回の適切なアプローチが必要となるでしょう。
最後に、過負荷による胸鎖乳突筋と迷走神経の影響には十分気をつけてください。
事故や負傷を起こしてからでは遅いのです。
このテクニックを用いれば、改善は可能だと考えます。(同じ症例を多く治してきました!)

写真およびビデオ供覧のご許可をありがとうございました。
きっと、同じような状態で悩む方々の一助になると存じます。
心より感謝申し上げます。
思い通りの発声ができるようになることをお祈り申し上げます。
お大事に・・・



ボイスケアサロン
會田茂樹(あいだしげき)



追記1:肩甲舌骨筋情報
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起始 下腹-肩甲骨上縁と肩甲骨上靭帯から起こり、胸鎖乳突筋の下面で腱になる
    上腹-この腱から上方に向かってのびる
停止 舌骨体後方の下縁
機能 舌骨を固定し、舌骨と喉頭を引き下げる

この筋肉は、本当に変わっています。まず、二腹筋の形態。筋肉の腹が二つにわかれています。このような形の筋肉は3本しかなく、その中で最大です。他の二つは、あご下の顎二腹筋と眼球につく上斜筋です。また、発声時に、この筋肉を使い過ぎる、すなわち、浮き上がるほど過緊張させると、発声に悪影響であることがわかってきました。肩甲舌骨筋の浮き上がりによって、甲状軟骨が深奥に入り込み、①筋運動を阻害する、②共鳴空間を狭くする、③披裂軟骨が微妙に転回して嗄声(かすれ)を招く恐れがある、などです。
さあ、あなたも肩甲舌骨筋の浮き上がりがないか、鏡でチェックしましょう!
首の筋肉がもりあがって、声が気になる場合は、精査しますので、ご来院ください。ここでの声が気になるとは、①ピッチのコントロールができない、②高音発声が苦手、③声が硬い、④声がこもる、⑤裏声が出ない、⑥声がひっくり返りやすい、⑦喉が詰まる感じがする、⑧声がかすれる、などのいずれか、または、複数が該当する場合です。ただし、長期に渡って症状が強い場合は、頚部ジストニア(神経障害)の可能性もありますので、詳しくは専門医にお尋ねください。



追記2:この方の甲状軟骨は形状がとても優秀でした。とくに大きさに関しては、極上の音色が出せるものと推察します。甲状軟骨が大きくなると、音が良い傾向なのですが、扱いが大変になりますね。過緊張や首の筋肉が浮き上がるひとは、ほとんどが素晴らしい甲状軟骨の持ち主なのです。



追記3:「わたしも同じように筋肉が浮き上がります。そうです。やっぱり声が出しにくく感じていました。でも、この記事によって理解できて良かったです!」「ボクも、声を出すと左側がもりあがる・・・。気になっていたが、何が起こっているかやっとわかった。ビデオのひとに感謝します!」との報告を多くいただきました。多くの方々に安心を与えたようです。あらためて写真とビデオ供覧のご許可に御礼申し上げます。



追記4:施術で改善が認められない場合、発声時頚部ジストニアの可能性もありますので、その際は専門医にご相談ください。




~メッセージ~
この記事は投稿時の情報・見解・施術法であり、最新・正確・最良でない可能性があります。内容に関し一切の責務を負いません。その旨ご承知いただきお読みください。會田の理論と技術は毎日進化しています。
by aida-voice | 2010-05-06 14:27